家庭医学館 「肺がんの組織型」の解説
はいがんのそしきけい【肺がんの組織型】
胸部X線写真やCT検査など、間接的な方法で調べただけで、腺がんや扁平上皮がんと診断する医師もいますが、正確には、顕微鏡でがん細胞をみて決定します。一般的にはだいたい、つぎのような性質があると考えられています。
扁平上皮がん 大きく発育するまではリンパ節への転移が比較的おこりにくく、腫瘍の中心部がこわれて空洞(くうどう)ができていることがあり、ヘビースモーカーの気管や、太い気管支に発生することも多くあります。
腺がん 腫瘍が比較的小さいときからリンパ行性転移(こうせいてんい)や血行性転移(けっこうせいてんい)がおこりやすく、気管や気管支よりも、肺の末梢(まっしょう)(口から遠い部位)に発生しやすい傾向があります。
大細胞がん 腺がんや扁平上皮がんに比べ、がん細胞が大きく悪性度が高いものです。
小細胞がん がん細胞が小さく、きわめて転移しやすく、腫瘍の発育も驚くほど早いものです。ただし、4種類のがんのなかでは、化学療法の効果がもっとも期待できます。
●細胞の種類別頻度
肺がんのなかでもっとも多いのが腺がんで、おおよそ50%。ついで、扁平上皮がんが30%、小細胞がんが15%、大細胞がんが5%ほどの割合です。
腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの3種類を非小細胞(ひしょうさいぼう)がんとし、小細胞がんとは分けて治療の方針を考えるのがふつうです。
以上のほかに、腺扁平上皮(せんへんぺいじょうひ)がん、カルチノイド、腺様嚢胞(せんようのうほう)がん、粘表皮(ねんひょうひ)がん、がん肉腫(にくしゅ)などといった特徴のある組織がみられるがんもありますが、いずれもまれなものです。