胆道のしくみとはたらき(読み)たんどうたんかんたんのうのしくみとはたらき

家庭医学館 「胆道のしくみとはたらき」の解説

たんどうたんかんたんのうのしくみとはたらき【胆道(胆管、胆嚢)のしくみとはたらき】

胆道のしくみ
 胆汁(たんじゅう)は、肝臓(かんぞう)で合成されて十二指腸(じゅうにしちょう)まで流れます。その胆汁の流れる経路のことを胆道(たんどう)といいます。
 肝細胞(かんさいぼう)で合成された胆汁は、肝細胞と肝細胞の間にある毛細胆管(もうさいたんかん)に分泌(ぶんぴつ)されます。一つひとつの毛細胆管は合流して細胆管(さいたんかん)、小葉間胆管(しょうようかんたんかん)と、しだいに太くなり、最後には右肝管(みぎかんかん)、左肝管(ひだりかんかん)になります(図「胆道のしくみ」)。
 2つの肝管は肝臓の外に出た後(出てからは肝外胆管(かんがいたんかん)と呼ぶ)、合流して総肝管(そうかんかん)となります。総肝管はさらに、胆嚢(たんのう)から出た胆嚢管(たんのうかん)と合流して総胆管(そうたんかん)となり、膵臓頭部(すいぞうとうぶ)を貫通(かんつう)して主膵管(しゅすいかん)と合流し、ファーター乳頭(にゅうとう)を経て十二指腸(じゅうにしちょう)に開口しています。
 ファーター乳頭にはオッディの括約筋(かつやくきん)と呼ばれる筋肉(きんにく)があり、十二指腸液が総胆管や主膵管内に逆流するのを防ぐ弁のはたらきをしています。
 胆道の名前には、肝臓の外へ出たところから膵臓の上縁に至るまでを2等分して、上部胆管(じょうぶたんかん)と中部胆管(ちゅうぶたんかん)とし、膵臓の上縁から十二指腸までを下部胆管(かぶたんかん)とする命名法もあります。
◎胆汁(たんじゅう)の役割
 胆汁は黄金色をした粘稠(ねんちゅう)な(粘(ねば)りけのある)液体で、1日の分泌量は約800~1000mℓです。便(べん)の色が黄色いのは胆汁のためです。
 胆汁に含まれる胆汁酸(たんじゅうさん)は、食物中の脂肪分(しぼうぶん)を乳化(にゅうか)して吸収しやすくします。また、ビタミンの吸収などにも重要な役割をはたしています。
◎胆嚢(たんのう)のはたらき
 胆嚢は西洋ナシのような形をした袋状の臓器で、胆汁を貯蔵(ちょぞう)、濃縮(のうしゅく)するはたらきがあります。
 食事をとった後、食物が十二指腸まで送られてくると、その刺激で胆嚢が収縮し、濃縮された胆汁が胆嚢管(たんのうかん)から総胆管(そうたんかん)に流入します。これによって総胆管内の圧が高まり、ファーター乳頭にあるオッディの括約筋が押し開かれ、胆汁が十二指腸内に放出されます。
◎胆道の主要な症状
 胆道が結石(けっせき)やがんで塞(ふさ)がれると、行き場を失った胆汁が血液中に逆流して黄疸おうだん)が出現します。このような状態を閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)といいます。
 また、結石などによって胆嚢や胆道内に炎症が生じると、発熱、右季肋部(きろくぶ)(右の脇腹)の痛み、黄疸などの症状が生じることがあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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