肝臓から分泌されて総肝管を流れてきた胆汁をためておく嚢で、ナスビ形をしており、肝臓下面の胆嚢窩(か)に収まっている。胆嚢は体(たい)、底(てい)、頸(けい)の3部分からなり、広い底部は丸く盲端となって前下方に向いている。底縁は第9~第10肋軟骨(ろくなんこつ)の下方で肝臓前縁から1~1.5センチメートルほど突出して前腹壁に接する。底部の後方は胆嚢中央部の体部で、これから頸部が続き、その上端からおこる胆嚢管(長さ約3センチメートル)は、肝門で急に屈曲し、肝臓からくる総肝管(長さ約7~8センチメートル)と合流して総胆管(輸胆管)となる。総胆管は、さらに十二指腸下行部の後内側壁で膵管(すいかん)と合して十二指腸内壁の大十二指腸乳頭に開口する。この部分は十二指腸内腔(ないくう)に突出し、とくに輪走筋が発達している(これを「オッディの括約筋」とよぶ)。この筋が緩むと、胆汁や膵液が十二指腸に流れ出る。
胆嚢の大きさを日本人の平均でみると、長さ6.8センチメートル、幅3.8センチメートル、容積50~60ミリリットルとなる。胆嚢の内面は、豊富な粘膜ヒダ(襞)が縦横に走り、細かい格子状を呈しているが、胆汁が充満するとヒダはほとんど消失する。胆嚢に分布する神経は自律神経で、そのうち、副交感神経は胆嚢の収縮とオッディの括約筋の弛緩(しかん)を促進させ、交感神経は血管運動に関与する。このほか、胆嚢には痛覚神経も分布している。
[嶋井和世]
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