胸の観音(読み)むねのかんのん

日本歴史地名大系 「胸の観音」の解説

胸の観音
むねのかんのん

[現在地名]勝山町黒田

観音山(鹿峰山・鹿ヶ峰とも。標高二三二メートル)中腹の岩窟中にある観音堂(現天台宗観音寺)をいう。旱魃時に延永長者の願いをかなえて大雨を降らせた池田いけだ村の小松こまつ池に住む大蛇と、大蛇に供されるところを助かりながら帰宅途中観音山麓で胸痛によって死亡した娘の霊魂を祀り、のちに「峰の観音」と改称されたという(京都郡誌)。観音山は明治以前は山口やまぐち(現苅田町)にあった等覚とかく寺の山伏が峰入りをした霊場で、「峰の観音」とよばれていたのが、明治になって胸部疾患に利益のある「胸の観音」として信仰されるようになったとする説もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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