脳卒中の局所症状

六訂版 家庭医学大全科 「脳卒中の局所症状」の解説

脳卒中の局所症状
(脳・神経・筋の病気)

 脳はその部位によってすべて、受けもっている機能が異なります。この点が同じくらいの重さ(1400g くらい)の臓器である肝臓などと大きく違う点です。さらに2本の内頸(ないけい)動脈と2本の椎骨(ついこつ)動脈を通して心臓から血液が脳に供給され、枝分かれした細い血管で、脳のすみずみにまで酸素ブドウ糖などの栄養物が送られています。

 脳はほかの臓器よりもたくさんの酸素や栄養物を必要としています。逆にいえば血液が少しでも来なくなる状態に弱いのです。したがって脳血流が低下したり、脳のなかに出血が起こって組織がこわれたり、また血の塊によって周囲の組織まで圧迫されたりすると、その影響を受けて機能が損なわれます。

 脳は図2のように各部位によってその機能が異なるので、梗塞や出血ができるとその部位の機能障害に応じたいろいろな症状が現れるのです。

 たとえば左側の脳にある言語中枢が侵されると言葉が出なくなり(失語)、運動のセンターが侵されると反対側の手足や反対側の顔面麻痺片麻痺(かたまひ))が生じます。また、たとえば右の脳の後ろのほうに脳梗塞(のうこうそく)ができると、左右の眼の左半分だけが見えなくなる同名性半盲(どうめいせいはんもう)という症状が出たりします。

 これらはほんの一例ですが、脳のある部位の障害を思わせる症状を脳の局所症状あるいは(そう)症状といいます。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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