腎コレステロール塞栓症

内科学 第10版の解説

腎コレステロール塞栓症(腎と血管障害)

定義・概念
 腎へのコレステロール塞栓(コレステロール結晶塞栓ともよばれる)であり,全身への塞栓症の部分症とに出現することが多いが,腎単独でも出現する.粥状動脈硬化プラーク病変からの塞栓で,複数の小動脈を部分的〜完全に閉塞させ,組織や臓器の虚血を起こす.
病因・病態
 動脈硬化の強い高齢者に多く,血管造影や心臓カテーテル検査など大動脈を操作する手技後に発症することが多いが,無関係に自然発症することも少なくない.ワルファリンやヘパリンで治療中に発症することも知られている.腎梗塞を起こすことはまれで虚血による萎縮と異物反応が主体である.
臨床症状・検査成績・診断
 通常,腎のみならずほかの血管系にも塞栓が起こるため,ブルートウ症候群(青色趾指症候群),網状皮斑,腸管潰瘍・穿孔などを認める.視野欠損や血圧上昇を認めることもある.
 塞栓が大きい場合,1〜2週内に急速な腎機能低下が出現する.ただし,塞栓が小さい場合は急速な腎機能低下を経ず,数週後から徐々に進行性の腎機能低下をきたすことが多い.反復して塞栓を繰り返している症例では,明確なイベントがわからないまま腎不全に陥っている症例もある. 尿所見は軽微で,蛋白尿の程度は低く,細胞や円柱成分に乏しい.活動期には好酸球増加と補体の低下が認められる.皮膚病変があれば,その部位の生検でコレステロール結晶を証明すれば診断は確定する.
治療
 確立した有効な治療法はない.心血管合併症の二次予防と動脈硬化の進行抑制が最も重要である.[木村玄次郎]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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