補体(読み)ホタイ(その他表記)complement

翻訳|complement

デジタル大辞泉 「補体」の意味・読み・例文・類語

ほ‐たい【補体】

血清中に存在するグロブリン系のたんぱく質抗原抗体との複合体病原微生物に結合すると活性化し、抗体の働きを補助したり溶菌作用などを現したりする。熱により活性を失う。

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精選版 日本国語大辞典 「補体」の意味・読み・例文・類語

ほ‐たい【補体】

  1. 〘 名詞 〙 動物の血液やリンパ液中に存在する、酵素に似た物質。特異的な溶菌、殺菌、食菌のほか溶血現象などに関与する。

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改訂新版 世界大百科事典 「補体」の意味・わかりやすい解説

補体 (ほたい)
complement

脊椎動物の正常血清中に存在する物質で,殺菌性物質として見いだされた。アレキシンalexin(防御素の意)とも呼ばれたが,免疫反応に関与することが明らかになるにつれ,抗体の作用を補完するという意味で補体と呼ばれるようになった。

生体内に侵入してきた細菌やウイルスに抗体が反応結合しても,それだけでこの細菌やウイルスが無毒化されることはない。血清中に存在する補体が抗体に引き続いて反応して初めて,これらの病原体は壊され,あるいは食細胞に貪食されるようになる。補体が生まれつき欠損している人は,ちょうど抗体を欠損している人と同じように,さまざまな感染症にかかりやすく,しかもそれらが重篤化することが多い。すなわち,病原体の感染からわれわれの身体を守るという抗体の作用は,補体が十分に働いて初めて全うされる。

 抗体の結合した細菌やウイルスに反応する血清中の補体は,九つの成分タンパク質から成り,これらの補体成分は,第一成分,第二成分,……,第九成分,略してC1,C2,……,C9と呼ばれ,抗原抗体複合物にはC1,C4,C2,C3,C5,C6,C7,C8,C9の順に反応して活性化していき,この過程でいろいろな補体の生物活性が現れてくる。貪食作用を亢進させる作用,炎症を起こさせる作用,細胞膜を破壊する作用などが補体の代表的な生物活性である。

 すでに免疫されてその病原体に対して抗体ができている人に,再び同じ病原体が侵入してきた場合を考えてみよう。侵入してきた病原体に最初に反応するのは抗体である。次にこの抗体が反応してできた抗原抗体複合物に補体がC1から順次反応していく。C1からC5までの反応は酵素反応の連続であるから,補体成分が分解を受ける。分子量18万のC3は,分子量約1万のC3aと17万のC3bに分解される。このうちC3bは抗原抗体複合物に結合し,C5以降の補体成分の反応を誘導するほか,食細胞による貪食作用を亢進させるようにも働く。すなわち,C3bの結合している抗原抗体複合物(この場合病原体との複合物)は,好中性白血球マクロファージなどの食細胞によって容易に捕らえられ貪食されるようになる。食細胞の表面には,抗原抗体複合物に結合したC3bを認識し,これと特異的に反応結合できるC3b受容体(レセプター)が存在するからである。一方,C3のもう一つの分解産物であるC3aは,C5の同様な分解産物であるC5aとともに,周辺の肥満細胞に働いてこれよりヒスタミンなどを放出させて血管の透過性を亢進させる。透過性の亢進した血管からはさらに抗体や補体が外に出てくる。C5aはまた白血球に対し強力な走化性因子としても働くので,食細胞などの白血球も透過性の亢進した血管から外に出て,抗体と補体が反応している病原体の周りに集まってくる。病原体にはすでにC3bが結合しているので,C5aに引き付けられて集まってきた食細胞は,病原体を容易に捕捉してこれを食べることができる。食細胞による貪食反応を亢進させるように作用するほかに,補体はそれ自身で病原体を破壊するようにも働く。C5の反応によって生じたC5bに,C6以降の補体成分が順次結合すると,C5b-9複合体と呼ばれる補体成分の大きな複合体ができる。この複合体は円筒状の形をしていて,細胞膜に結合する。その結果,細胞に小さな穴があき,この穴を通して水分子やイオンの出入りが起こり,膜が破れる。病原体が細菌であれば溶菌ないし殺菌,ウイルスであればその被膜が壊れて感染力を失う,といった結果となる。要約すれば,補体は,抗体の結合した病原体に作用して,その病原体を破壊し,あるいは食細胞に食べられやすくする,といったおもに二つの方法で病原体を処理し,われわれの身体を感染から守ろうとしているのである。

 免疫反応のすべてがそうであるように,上に述べたような作用を示す補体の反応が,いつもわれわれの身体に有利な結果だけをもたらすとは限らない。自分の細胞が抗原となりこれに自分の抗体が反応するような特殊な場合には,続いて補体が反応すればその細胞は壊され,好ましくない結果となる。血液型の異なる血液が誤って輸血されたとき,患者の血液中にその血液型に対する抗体が存在すれば,この抗体に続いて補体が反応し,輸血された血球は直ちに壊され溶血し,その結果として重篤な障害が現れる。病原体といえども,多量の病原体が抗体,補体と一気に反応すれば,この病原体を処理しようとして働く補体の作用が,われわれ自身の身体にも及び,病的な状態をもたらすこともある。

これまで述べてきたところでは,補体は抗原と抗体の複合物に反応する血清中の物質である。事実十数年前まで,補体はこのような物質として定義されていた。ところが,細菌やウイルスの一部には,抗体がなくても直接補体と反応できるものがあることがわかってきた。これらの細菌やウイルスは,C1,C4,C2とは異なる血清中のタンパク質成分,つまりB因子,D因子,プロペルジンproperdinおよびC3とまず反応し,そのあとでC3(再び),C5,C6,C7,C8,C9と反応していく。このとき,D因子はC1のような,B因子はC2のような,初めのC3はC4のような働きをし,プロペルジンはそれらの反応を増進させるように作用する。すなわち,補体のC3からC9までの成分は,C1,C4,C2に続いて反応する場合と,B因子,D因子,C3,プロペルジンなどに続いて反応する場合とがあることが明らかになってきた。そこでこれまでの補体の定義は,B因子などの反応因子と後述する制御タンパク質なども含めたものへと拡大され,補体系と呼ばれるようになった。そしてC1から始まってC9へと反応が進むとき,この反応は昔の補体の定義に一致する反応であるので,古典経路で補体系が反応または活性化されたという。B因子,D因子などの反応からC9へと反応が進むとき,補体系は第二経路あるいはプロペルジン経路で反応または活性化されたと呼んでいる。第二経路による補体の反応は,感染に対する生まれつきの抵抗性とも関係があるらしい。たとえば,あるウイルスは,第二経路でヒトの補体と反応できても,マウスの補体とは反応できない。こうした種による違いを決めているものが何であるかは,まだよくわかっていないが,このウイルスはマウスには感染できてもヒトには感染を起こしにくい。すなわち,生体の自然抵抗性が補体の第二経路に依存している例である。

 他の生体内の反応系と同じように,補体系にもその反応の進行を適度に制御するところの制御タンパク質が存在する。制御因子ともいう。C1インヒビターinhibitor,C3bイナクチベーターinactivatorなど数種の制御タンパク質が知られている。これらの制御タンパク質を欠損している人では,歯止めを失ったため,補体系の反応が際限なく進行し,その結果さまざまな病気が生じる。

なお,梅毒やウイルス感染症の補助診断に用いられている補体結合反応は,種々の抗原抗体複合物に補体が非特異的に反応できることを応用した血清反応である。既知の抗原を用い,これと反応できる抗体が患者の血清中に存在するか否かを調べようとするときに用いられることが最も多い。逆に既知の抗体を用い,これと反応できる抗原が存在するか否かを調べようとするときに用いることもできる。なお補体としては,モルモットの新鮮血清が用いられることが多い。
抗原抗体反応 →免疫
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「補体」の意味・わかりやすい解説

補体
ほたい
complement

病原微生物などに対する生体防衛機構のなかで、種々の免疫反応やアレルギー反応の媒介物質として重要な役割を果たしている約20種類の血清タンパク質の総称。血清中では不活性の状態で存在するが、抗原抗体複合物、凝集γ(ガンマ)‐グロブリン、細菌や動物の細胞膜などによって活性化されると、溶血反応や溶菌反応、貪食(どんしょく)作用や炎症の促進など種々の生物活性を示すようになる。

 補体の存在は19世紀末ころから知られていた。すなわち、ある種の病原菌は動物の血清を加えるだけで死滅することが観察され、この新鮮血清に含まれる殺菌作用は56℃で30分の加熱により失われることが報告された。この易熱性の殺菌作用をもつ物質は、ドイツの細菌学者ブフナーHans Buchner(1850―1902)によって1889年、アレキシンalexin(防御素)とよばれた。また、ドイツの細菌学者パイフェルRichard Friedrich Johannes Pfeiffer(1858―1945)は1894年、コレラ菌で免疫されたモルモットの腹腔(ふくこう)内にコレラ菌を侵入させると、菌が死滅溶解(溶菌)する現象(パイフェル現象)をみいだし、ベルギーの細菌学者ボルデは1905年、この溶菌現象には免疫動物の血清中にある耐熱性の物質(抗体)と易熱性の血清成分(アレキシン)が関与し、この両者が不可欠であることを発見した。かくして、アレキシンは抗体の働きを補完するという意味で、補体とよばれるようになった。さらにその後、抗体がなくても細菌やウイルスが直接補体と反応するものもあることがわかり、補体系と総称し、従来の抗体と協同作用を営む反応経路を古典的経路、直接反応する経路を第二経路(代替経路)とよんでいる。また、この補体系の反応を制御する因子も知られ、これを制御タンパク質とよぶ。

 補体系タンパク質のうち、補体の活性化反応に直接関与するタンパク質を補体成分といい、補体の頭文字Cに活性化の順序におおむね従った番号がつけられ、非活性状態から活性状態に変わった各成分に対しては成分記号の下に横線(バー)をつけて表す。また、活性化の過程で補体成分がペプチド鎖の断裂を伴って活性型に変化する場合には、補体成分の後方にa、bをつけて表す。なお、第二経路の補体成分は発見者の命名に従ってB因子、D因子、プロペルジン(P)とよんでいる。

[柳下徳雄]

補体の反応経路と働き

一般に、生体内に侵入してきた細菌やウイルス(抗原)に抗体が反応して抗原抗体複合物を形成しても、それだけで無毒化されることはなく、血清中に存在する補体が抗原抗体複合物に接触して反応し、初めて病原体が破壊されたり食細胞に貪食されるようになる。このような働きをする血清中の補体は九つの成分タンパク質からなり、それぞれC1からC9まで名づけられているが、抗原抗体複合物に対してはC1、C4、C2、C3、C5、C6、C7、C8、C9の順に反応して活性化される。このうち、C1は1分子のC1qと2分子のC1rおよびC1sが集合して形成された分子量約74万の複合体で、抗原抗体複合物とはC1qを介して結合する。このC1qの結合によってC1rとC1sが順次活性化され、さらにC1sがC4とC2をそれぞれC4a,C4bとC2a,C2bの各フラグメント(断片)に分解する。このうち分子量の大きいC4bとC2aが結合して酵素活性をもった複合体C4b2aを形成し、これがまたC3をC3aとC3bに分解してC4b2a3bを形成する。続いてこれがC5をC5aとC5bに分解するというように、連続した酵素反応によって活性化が進行し、その後C5bはC6、C7、C8、C9を順次自動的に集合して分子量約100万の巨大複合体を形成、始動物質である抗原抗体複合物の表面に結合して存在する。以上の反応経路が古典的経路である。

 第二経路は抗体出現前の感染初期などにみられる反応経路で、始動物質である病原体の表面にB因子、D因子、C3が接触することによって開始される。すなわち、C1、C4、C2の作用を受けることなく、D因子がC1、B因子がC2、最初に接触したC3がC4のような働きをそれぞれ行って、C3はC3aとC3bに徐々に分解され、このC3bが表面に蓄積されてくると、これにB因子、D因子、プロペルジンが作用してC3bBDPを形成する。これにより新しくC3がふたたび分解され、生じたC3bの一部がC3bBDPに結合すると、C5を分解するようになる。C5以下の反応は古典的経路と同じである。

 これら両経路の途上で生成される補体成分の断片やいくつかの補体成分が結合した中間生成物は、生体防御の面で生体側にきわめて有利に作用する。たとえば、抗原抗体複合物や病原体の細胞表面に結合したC3bはC5以降の反応を誘導するばかりでなく、白血球やマクロファージなどの食細胞に容易にとらえられて貪食されるようになる。これは食細胞表面に抗原抗体複合物などに結合したC3bを認識し、これと特異的に結合するC3b受容体(レセプター)が存在することによる。また、C3aやC5aは周辺の肥満細胞に作用してヒスタミンなどを放出させ、血管の透過性を亢進(こうしん)させる。さらにC5aは白血球を呼び寄せる走化性が強く、局所での貪食作用を促進させる。なお、反応の最終産物である巨大複合体は、標的細胞の膜障害を引き起こして溶血反応や溶菌反応などを示すようになる。

 このような補体系の作用も、リンパ球細胞を中心とした免疫反応と同様に、いつも有利な結果だけをもたらすわけではない。たとえば、前述のヒスタミン放出によるアレルギー反応をはじめ、本来は抗原にならない自己の赤血球や甲状腺(せん)細胞などが生体にとって異物となり、これに対する抗体が産生されると、自己免疫性溶血性貧血や橋本病などの自己免疫疾患がみられるほか、全身性エリテマトーデスに併発する腎炎(じんえん)なども、局所に沈着した抗原抗体複合物が補体系による活性化で引き起こされる免疫複合体病と考えられている。これらは、異常に産生された抗体により、生体防御という補体系の機能が裏目に出たものである。ときに生体に好ましくない結果をもたらす補体系の監視役をするのが制御タンパク質で、C1インアクチベーターやC3bインアクチベーターなど10種近くが知られ、それぞれ過剰に生じたC1rやC1sのほか、C3aやC3bあるいはC4bやC5aなどを失活させる。

 なお、きわめてまれではあるが補体欠損症とよばれるものがあり、遺伝的に補体成分の産生が欠損または低下している状態をいう。この患者は、抗体が欠損している場合と同様に、種々の感染症にかかりやすく、かつ重篤化することが多い。また、制御タンパク質が欠損すると補体成分産生の歯止めがなくなるので、種々の病気を引き起こすことになる。

[柳下徳雄]

補体結合反応

梅毒のワッセルマン反応やウイルス感染症の補助診断、あるいは研究用に広く用いられている血清反応で、種々の抗原抗体複合物に対して補体が非特異的に反応することを応用したものである。血清中の抗体や培養液中の抗原(細胞膜抗原、粒状抗原、可溶性抗原)などを検出するために用いられるが、検出できる抗体は古典的経路を活性化するものに限られる。この反応は、抗原と抗体の混合液に一定量の補体を加えて低温で反応させる第一段階と、感作血球を加えて残存する補体量を測定する第二段階に分けられる。第一段階で抗原抗体反応がおこれば補体が消費されて第二段階で溶血反応がみられないが、逆に第一段階で抗原抗体反応がおこらないと補体が消費されないので第二段階では溶血反応がみられる。臨床検査用には、既知の抗原に反応する抗体が患者の血清中に存在するかどうかを調べるほか、逆に既知の抗体を用いてこれに反応する抗原の存在を調べたりする。この補体源としては、あらかじめヒツジの赤血球に吸収させたモルモットの新鮮血清が用いられることが多い。

 なお、反応液中に細菌や凝集γ‐グロブリンなどが含まれていた場合にもテスト結果が陽性となるが、抗原抗体反応によらないので疑陽性とよばれる。したがって、不純物を除いてから補体結合反応を行う必要がある。

[柳下徳雄]

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百科事典マイペディア 「補体」の意味・わかりやすい解説

補体【ほたい】

脊椎動物の正常血清中に存在し,免疫反応を補助する物質。C1からC9までの9成分と各種の反応因子がある。抗原抗体複合物や細菌の表面成分などに反応して,マクロファージなどの食作用を亢進させ,炎症・溶菌・溶血反応などを引き起こす。→補体結合反応
→関連項目アレルギー反応抗原抗体反応溶血

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化学辞典 第2版 「補体」の解説

補体
ホタイ
complement

血清中に存在する9種類の酵素様のタンパク質からなる因子群.抗原抗体との結合物に抗体のFc領域を足がかりに順次結合し,溶血,殺菌,免疫喰(く)菌,移植臓器に対する拒絶反応,アナフィラキシー(即時型過敏症)など,抗原抗体反応に引き続いて起こる多くの免疫現象に関与する.このうち,溶血反応については,9種類の成分(C1~C9)の関与する反応機構が明らかにされている.化学的にグロブリン,ムコグロブリンに属するタンパク質である.[別用語参照]イムノグロブリン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「補体」の意味・わかりやすい解説

補体
ほたい
complement

動物の血液,リンパの中にみられる酵素様の蛋白質の一種で,感染防御や炎症などの生体防御である。抗原抗体反応によって活性化される。熱には弱く,血清を 56℃で 30分加熱すると破壊される。殺菌性をもつことで知られてきたが,溶菌,溶血現象や補体結合反応には必須の化学物質であることが明らかになった。 P.エールリヒが complementと命名するまではアレキシン alexinと名づけられていた。

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栄養・生化学辞典 「補体」の解説

補体

 血清にある成分で,抗体と協力して細菌や細胞を破壊する活性をもつ成分.タンパク質で,約20種類がある.

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世界大百科事典(旧版)内の補体の言及

【炎症】より

…この現象を白血球の化学走性chemotaxis(〈走性〉の項目参照)という。好中球の場合,化学走性を起こすおもな因子として細菌と補体とがある。好中球がなぜ化学走性を示すのかはまだ十分に解明されていないが,化学走性を起こす因子にあるポリペプチド鎖と結合する受容体が好中球の表面に存在し,まずこの部分での結合が最初に起こると考えられている。…

【血液】より

…病原体が侵入して増殖することを感染といい,感染の部位に生ずる生体の反応を炎症という。炎症は感染などの外からの刺激に対抗して生体内に生ずる防御反応であり,血液中に存在する抗体,補体,白血球の協同作用により行われる。抗体は,リンパ球が分泌する免疫グロブリンで,再感染を防ぐのに役だつ。…

【免疫】より


[新しい概念の確立]
 こうして,免疫の重要な二つの側面,抗体による体液性免疫と細胞が直接働く細胞性免疫についての研究が進展し,それぞれについて重要な発見が相次いだ。抗体については,それが抗原と特異的に反応できるタンパク質で,しばしば血清中の他の一連の酵素系(補体)を活性化して,さまざまな生体内反応を起こすこと,試験管内では抗原と結合して沈殿を起こしたり(沈降反応),もし抗原が粒子状抗原であればそれの凝集を起こしたりする(凝集反応),いわゆる〈抗原抗体反応〉を起こすことがわかった。補体を活性化すれば,抗原の溶解や破壊,白血球による貪食を誘導する。…

※「補体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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