改訂新版 世界大百科事典 「腐植酸系肥料」の意味・わかりやすい解説
腐植酸系肥料 (ふしょくさんけいひりょう)
石炭または亜炭を硝酸あるいは硝酸と硫酸の混液で低度に酸化分解して得られる腐植酸(ニトロフミン酸)に塩基類のアンモニア,水酸化マグネシウム,焼成蛇紋岩粉末あるいは重炭酸カリウム,水酸化カリウムを加えて反応させて製造した一連の肥料をいう。添加する塩基によって腐植酸アンモニア肥料,腐植酸苦土肥料,腐植酸カリ肥料の3種類があり,単肥としてまた配合肥料原料として用いられている。これらは含有されるアンモニア(約4%),苦土(マグネシウム,約4%),カリウム(約11%)などの肥料成分による肥効とともに,ニトロフミン酸(含有量40~75%)による土壌改良効果を目的としている肥料である。ニトロフミン酸は鉄やマグネシウムの微量要素や金属類とキレート結合して可溶化し,植物への吸収を助長する。また,植物の伸長を促進するホルモン的効果や土壌の陽イオン交換能を増大する効果,リンの肥効を増大する効果も期待されている。
執筆者:茅野 充男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報