日本大百科全書(ニッポニカ) 「自己相関」の意味・わかりやすい解説
自己相関
じこそうかん
autocorrelation
ある変数の系列中において、個々の変数値が一定間隔を置いて相互に関連をもつこと。系列相関ともよばれる。たとえば、変数Xの系列X1, X2,……, Xi,……において(X1, X1+k), (X2, X2+k),……, (Xi, Xi+k),……として、k間隔ごとに変数間の組合せをつくったとき、組み合わされた2変数の間に、各組に共通な系統的関連があるとき、この変数系列はk次の自己相関をもつといわれる。この2変数の組合せについて、X1, X2,……, Xi,……とX1+k, X2+k,……, Xi+k,……との間の相関係数をとったものは、k次の自己相関係数とよばれる。
この自己相関は、とくに線形の計量経済モデルにおいて、残差(誤差)項に系統的な関係が存在しないかどうかの検討について重要となる。いま、一つの線形モデルを
Yt=a0+a1X1t+a2X2t+……
+akXkt+ut
として構成し、係数a0, a1, a2,……, akを最小二乗法で推定したとする。この場合、推定されたそれぞれの係数â0,â1,……,âkが真の値であるとみなされうるような望ましい統計的性質をもつためには、確率変数uが、u1, u2,……, ut,……の間で相互依存の関係にあってはならない。すなわち、変数uの系列には自己相関のないことが確認されなければならない。それを事後的に検証する一つの方法としてダービン‐ワトソン比とよばれる検定値がある。この値の大小によって残差項に1次の自己相関が存在するかどうかを検討することができる。
[高島 忠]