改訂新版 世界大百科事典 「自律機能」の意味・わかりやすい解説
自律機能 (じりつきのう)
autonomic function
自律機能は,植物性機能あるいは不随意機能と呼ばれ,生体にとって最も基本的な,循環,呼吸,消化,排出,代謝,分泌,体温,生殖などの諸機能のことをいう。自律機能は,生体内の内部環境を常時,生命の維持に最適な状態に保つように主として自律神経系とホルモンによって調節されているが,一部運動神経系によっても調節されうる。また,神経とホルモンの調節以外にも,たとえば心臓に血液が増えると心臓の働きが亢進するように,自律機能に関与する諸器官そのものの状態によっても自動的に調節される場合もある。このような生体の調節機能の全体をホメオスタシスと呼ぶ。自律機能との対比で運動機能がある。自律機能も運動機能も,まったく独立した機能ではなく,たとえば運動神経を介して運動をする直前に,自律神経を介して骨格筋の血流が増えて運動を助けるように,相互に助け合って機能する場合が多い。
執筆者:佐藤 昭夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報