フランス映画。1937年、ジュリアン・デュビビエ監督作品、翌年に日本公開、キネマ旬報ベストテン第1位。イタリアの豪邸に住む夫を亡くしたばかりのクリスチーヌ(マリー・ベルMarie Bell、1900―1985)は、20年ほど前の手帖を手に、かつて自分に愛を語ってくれた7人の男たちを訪ねる。彼女との愛に破れて自殺した男の、精神に異常をきたした母親(フランソワーズ・ロゼー)を皮切りに、怪しいキャバレーの支配人(ルイ・ジューベ)、神父、登山ガイド、田舎の町長(レイミュJules Raimu、1883―1946)、堕胎専門の医師(ピエール・ブランシャールPierre Blanchar、1892―1963)、パリの美容師(フェルナンデル)であり、多くは絶望的な人生を送っていた。第二次世界大戦前のフランスを代表する俳優たちがオムニバス形式で出演する、デュビビエ監督1930年代の代表作。デュビビエは1941年に、ハリウッド製作で自らリメイクするが(『リディアと四人の恋人』)、失敗に終わった。
[古賀 太]
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