マリー(読み)まりー(英語表記)George Gilbert Aimé Murray

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリー」の意味・わかりやすい解説

マリー
Moray

イギリススコットランド北東部の単一自治体(カウンシルエリア council area)。旧称エルギンシャー。行政府所在地エルギンマリー湾の南岸から内陸に広がる。旧マリー県と旧バンフシャー県の大部分からなる。1975年の自治体再編でグランピアン県の一部となり,1996年に単一自治体となった。スペー川,フィンドホーン川は南部の丘陵地帯や泥炭湿原水源とし,沿岸部の肥沃な平野を横切りマリー湾に注ぐ。南端には標高 1220m近いケアンゴーム山地の大山塊がそびえる。古くはピクト人が住んでいたが,9世紀にケネス・マカルピンによりスコット人の土地と統合され,マリーと呼ばれるようになった。かつてのマリーは旧県よりはるかに広く,スコットランドの七つの伝統的地方の一つであった。19世紀の産業革命の影響はほとんど受けなかったが,鉄道の開通により観光業と漁業が発展した。おもな農産物は穀物,ジャガイモ,干し草用の牧草。平野部では肉牛が飼育され,丘陵地帯では羊の放牧が行なわれる。製造業は食品加工,造船,北海の石油産業用機器を主とし,ウイスキーの製造も行なわれる。スペー川でのサケ釣りや海辺のリゾート,美しい田園風景などにより,観光も地域経済の重要な柱となっている。最大都市エルギンは商業の中心でもある。面積 2238km2人口 8万9030(2006推計)。

マリー
Murry, John Middleton

[生]1889.8.6. ロンドン
[没]1957.3.13. サフォーク
イギリスの批評家。 K.マンスフィールドの夫。妻や D. H.ロレンスの影響を受け,雑誌『アシニーアム』 Athenaeumの編集者,『アデルフィ』 Adelphiの創刊者として,T. S.エリオットに対抗してロマン主義を唱道した。『ドストエフスキー論』 Dostoevski (1916) が出世作で,以後シェークスピア,ブレークキーツスウィフトなどの作家論,マンスフィールド,ロレンスの評伝など多彩な文筆活動を行なった。また『未知なる神に』 To the Unknown God (24) やイエス伝などで宗教に,『共産主義の必要』 The Necessity of Communism (32) や『自由社会』 The Free Society (48) などでは政治にも関心を示した。

マリー
Mallee

オーストラリア,ビクトリア州北西部,ウィンメラ川とマレー川との間の地方。マリーと呼ばれる独特のユーカリ植生地帯で,かつてコムギ栽培のために開墾され,土壌浸食の問題が生じた。現在はウィンメラ=マレー給水地区の一部として約2万 5000km2に給水され,灌漑牧草地,飼料作物,穀作の組合せによる農牧開発が進められている。

マリー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリー」の意味・わかりやすい解説

マリー(トルクメニスタン)
まりー
Мары/Marï

トルクメニスタン共和国マリー州の州都カラクム砂漠の南辺、ムルガーブ川とカラクム運河に臨み、共和国首都アシガバートの東320キロメートルに位置する。人口12万3000(1999)。1937年までメルブМерв/Mervと称した。メルブはアケメネス朝時代に知られ、中央アジアにおける東西交通の要地として経済・文化の面で重要な役割を果たしていたが、1221年モンゴル軍によって破壊された。当時の遺跡は東方30キロメートルのムルガーブ川右岸に残る。1884年軍事上の拠点として現在の町ができ、ロシア革命(1917)後はこの地方の綿花栽培の中心となる。1950年代に始まったカラクム運河開削工事(1986年完成)により、灌漑(かんがい)が進んだ。鉄道の分岐点で農・工業の集散地である。周辺での綿花栽培のほか、繊維工業や製粉、食肉、乳製品などの食品工業、家具・敷物製造などの工業が活発である。近郊には運河の水を利用した水力発電所もある。

 マリー州は面積8万6800平方キロメートル、人口114万6800(1999)。人口密度は1平方キロメートル当り13.2人。

[山下脩二]


マリー(George Gilbert Aimé Murray)
まりー
George Gilbert Aimé Murray
(1866―1957)

イギリスの古典学者。オーストラリアのシドニー生まれ。23歳でグラスゴー大学ギリシア語教授となったあと、母校オックスフォード大学のギリシア語欽定(きんてい)講座教授を務めた(1908~36)。多くのギリシア劇の翻訳・校本のほかに『ギリシア叙事詩の成立』(1907)、『エウリピデスとその時代』(1913)、『ギリシア宗教の五段階』(1925)、『詩における古典的伝統』(1927)などがある。

[戸田 基]

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