国指定史跡ガイド 「船上山行宮跡」の解説
せんじょうさんあんぐうあと【船上山行宮跡】
鳥取県東伯郡琴浦町山川にある行宮跡。標高615mの船上山は大山(だいせん)の火山活動で誕生した山で、比高差100m以上、延長600mにおよぶ溶岩流による断崖絶壁が形成されている。大山寺、三徳山とともに古くからの山岳仏教の聖地で、今も約20の寺坊跡が比較的良好に残っている。船上山が歴史の檜舞台に登場したのは鎌倉時代末期のこと。1331年(元徳3・元弘1)の元弘の変で、後醍醐(ごだいご)天皇は鎌倉幕府の執権北条氏により隠岐へ配流された。しかし、1333年(正慶2・元弘3)後醍醐天皇は密かに隠岐の行宮から脱出し、伯耆(ほうき)国の名和(なわ)一族などに迎えられて船上山に城郭を構えた。幕府側との戦いに勝利するまでの約80日間を船上山にたてこもったことから、船上山行宮跡として、1932年(昭和7)に国の史跡に指定された。現在でも、行宮所のあった明確な場所は特定されていない。登山口へは、JR山陰本線赤碕駅から車で約15分。