色付(読み)いろづく

精選版 日本国語大辞典 「色付」の意味・読み・例文・類語

いろ‐づ・く【色付】

[1] 〘自カ五(四)〙 (「いろつく」とも)
① 色がつく。変色する。
(イ) 草木の葉に色がつく。紅葉する。
万葉(8C後)一五・三六九九「秋されば置く露霜にあへずして都の山は伊呂豆伎(イロヅキ)ぬらし」
(ロ) 植物の実に色がつく。熟す。〔日葡辞書(1603‐04)〕
(ハ) 肌などが赤みを帯びてくる。
源氏(1001‐14頃)若菜下「式部卿の宮も、御孫をおぼして、御鼻の色つくまでしほたれ給ふ」
② 人が成熟する。
(イ) 一人まえに成人する。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「七夕はすぐさぬものを姫松の色づく秋のなにやなになり」
(ロ) 色気づく。性的感情がめばえる。
※凩(1971)〈水上勉〉二九「繁次郎の妹が、いまごろになって色づきよってのう」
③ 目に見えて成果があらわれる。
※反故集(1671)下「古人も三十年四十年を経てならでは、少しも色付(イロツキ)申由、被記置候」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒いろづける(色付)

いろ‐つけ【色付】

〘名〙 (「いろづけ」とも)
① 物に色をつけること。彩色。着色。また、彩色されたもの。
言国卿記‐文明一三年(1481)三月二七日「親王御方夏御直衣千疋分にて、御あてこし、御色付事まて可申付由在之」
浮世草子・好色一代男(1682)一「色付の薑(はじかみ)に塗竹箸を取そえ」
② 一つの特徴をきわ立たせること。
※冬の宿(1936)〈阿部知二〉一〇「今までとは全くちがった、恐ろしい意味に色付けして蘇ってくるのであった」
芸妓が客に初めて肌を許すこと。客の側からいう。水揚げ
洒落本・箱まくら(1822)上「どれぞ芸子にいろ付(ツケ)をなさりませぬか」
④ 商品の値を安くしたり、おまけをつけたりすること。

いろ‐つき【色付】

〘名〙 (「いろづき」とも)
① 色のようす。色のぐあい。
今昔(1120頃か)二四「女の目・鼻直り畢て、例の人の色付に成ぬ」
② 色が付いていること。色の付いているもの。
※光と風と夢(1942)〈中島敦〉一一「子供の時の最も親しい遊道具だった『一片(ペニイ)なら無彩色・二片(ペンス)なら色つき』の紙芝居
③ 木の葉や果実が赤や黄色に変わること。紅葉すること。
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉十月暦「色(イロ)づきも稍美しきものあれど、樹の数は至って少く」

いろ‐づ・ける【色付】

〘他カ下一〙 いろづ・く 〘他カ下二〙
① 色をつける。色彩で飾る。いろどる。
※永日小品(1909)〈夏目漱石〉行列「まともに落ちて来る日が〈略〉縁側の手前丈を明るく色づけて」
② 単調な物事にある変化を加える。
※偸盗(1917)〈芥川龍之介〉七「人間の苦しみに色づけられた、うつくしく傷ましい夢である」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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