改訂新版 世界大百科事典 「花笠踊」の意味・わかりやすい解説
花笠踊 (はながさおどり)
民俗舞踊,歌舞伎舞踊で,採物(とりもの)に造花の飾りをつけた笠をつかう踊り。京都市左京区久多の花笠踊は,六角の台に行灯をのせ,まわりを精巧な造花で飾ったものを,頭上や胸前に持ち,太鼓と風流(ふりゆう)歌に合わせて踊る(風流踊)。広島県山県(やまがた)郡北広島町の旧千代田町や山口県周南市八代の花笠踊は,周囲に長くしだれた花笠をかぶった大勢の踊り手が,笛・鉦(かね)・太鼓(旧千代田町ではみずから打つ)と風流歌に合わせて,花笠を揺らしながら踊る。歌舞伎舞踊の《四季花笠踊(関の小万)》や《菊づくし》では,若女方が花笠をかぶり,両手に持ったりして踊る。ほかに《娘道成寺》では花傘の踊りがある。そのほか近年広く踊られるものに,山形県の民謡舞踊の〈花笠踊〉がある。飾り花の花笠を手にした大勢の踊り手が,ヤッショマカショのはやしことばにのってにぎやかに踊る群舞で,山形市では毎年8月6日から3日間,1万人の踊りパレードを繰り広げる花笠祭を行っている。
執筆者:吉川 周平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報