芳野村（読み）よしのむら

日本歴史地名大系

芳野村
よしのむら

• 高知県：香美郡
• 香北町
• 芳野村

[現在地名]香北町吉野（よしの）

禰須（ねず）村の西南方、東西一キロ、南北五〇〇メートルの平坦な物部（ものべ）川河岸段丘上の村で、集落は南方山際にある。西は小川（おがわ）村。物部川対岸は長野（ながの）・朴木（ほおのき）の両村。地味肥沃ではないが、谷水を得やすいので古くから開けた。天正一六年（一五八八）の韮生谷地検帳には吉野々村とあり、近世は吉野村と記していたが、元禄一三年（一七〇〇）藩の指示で芳野村と改め（皆山集）、近代に入り再び吉野に復した。

前記地検帳は村内の七三筆一二町二反三七代（田分五町六反余・畠屋敷六町五反余）すべてを「北窪分　野中三郎左衛門給」とする。長宗我部氏の代官野中氏は、かつて北窪氏がそうしたようにこの手ごろな広さの土地を選んで一円支配し、惣領一人に伝えたのであろう。

芳野村
よしのむら

• 高知県：高岡郡
• 大野見村
• 芳野村

[現在地名]大野見村吉野（よしの）

大野見村の東、四万十（しまんと）川支流吉野川に沿った平坦な村。近世の郷帳などは四万十川を約九キロ下ったところにある野老野（ところの）村を含めて芳野村とする。槙野川（まきのがわ）谷（現液沢谷）より蚯蚓（みみず）坂を越えると久礼（くれ）村（現中土佐町）へ、厚川（あとがわ）谷から樺涸（かばか）坂を経ると床鍋（とこなべ）村（現窪川町）へ出る。天正一六年（一五八八）の津野大野見村地検帳の吉野名・平串（ひらぐし）名・新百姓名・今在家（いまざいけ）名・槙野川名・白地名の計二九町七反余の地が村域にあたると推察され、津野氏領で在地の給人は野見六衛門ら五人であった。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」