苔清水(読み)コケシミズ

デジタル大辞泉 「苔清水」の意味・読み・例文・類語

こけ‐しみず〔‐しみづ〕【×苔清水】

苔の間を伝わり流れる清らかな水。 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「苔清水」の意味・読み・例文・類語

こけ‐しみず‥しみづ【苔清水】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 山間などの苔の間を伝わり流れる清らかな水。《 季語・夏 》
      1. [初出の実例]「十人口はすきの茂り木〈西鶴〉 苔清水小家苻ながらや濁すらん〈西可〉」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第七八)
      2. 「さきにすすみて行道の岩間を伝ふこけしみづたらたらをりの田のあぜに」(出典:浄瑠璃・十二段(1698頃)道行)
    2. サトザクラの園芸品種。花は白色の一重で、径三・五センチメートルぐらいになり、花弁の先端は淡い紅色を帯びる。芳香はなく花芽は淡い茶色。
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 楽焼茶碗の名物の一つ。赤楽で長次郎作。苔志水。〔古今名物類聚(1789‐91)〕
    2. [ 二 ] 奈良県吉野町吉野山の西行庵跡の清水。とくとくの清水。

苔清水の語誌

[ 二 ][ 二 ]について、「吉野山独案内」(謡春庵周可編)に「とくとくと落つる岩間の苔清水くみ干す程もなき住居かな」の口碑の歌と共にこの清水を紹介したのが最初。西行追慕の気運の高まりにともなって[ 一 ]普通名詞へと転用されるようになったと考えられる。

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