デジタル大辞泉 「一重」の意味・読み・例文・類語 ひと‐え〔‐ヘ〕【一重/▽単】 1 そのものだけであること。重ならないであること。「唐紙―を隔てた隣室」「紙―」2 花びらが重なっていないこと。単弁。「―の椿つばき」3 「一重瞼まぶた」の略。4 「単物ひとえもの」に同じ。「―の着物」《季 夏》「松籟しょうらいに―の衿えりをかき合はす/みどり女」⇔袷あわせ。5 「単衣ひとえぎぬ」の略。[補説]4は「単衣」とも書く。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「一重」の意味・読み・例文・類語 ひと‐え‥へ【一重・単】 〘 名詞 〙① そのものだけで、重なっていないこと。また、そのもの。ひとひら。一枚。[初出の実例]「臣の子の八重の紐解く比騰陛(ヒトへ)だにいまだ解かねば御子の紐解く」(出典:日本書紀(720)天智一〇年一二月・歌謡)② 花弁が一枚ずつになっていて、重ならないこと。単弁。[初出の実例]「ほかの花は、ひとへ散りて、八重さく花ざくら、さかり過ぎて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)幻)③ ( 単 ) 裏地のついていない衣服。ひとえぎぬ。ひとえもの。⇔袷(あわせ)。《 季語・夏 》[初出の実例]「ひとへの袖あまたたびひきいでつつ」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)④ ( 形動 ) まじりけのないこと。純粋であること。そのことに専心すること。また、そのさま。ひたすら。→ひとえに。[初出の実例]「これぞ悟りの種なると、思ふ心の一重なる、墨の衣に身をなして」(出典:謡曲・卒都婆小町(1384頃))⑤ ( 副詞的に用いて ) 程度が一段と進むさま。いっそう。ひとしお。多く、「今ひとえ」の形で用いられる。[初出の実例]「げに、今ひとへ、しのばれ給ふべきことを添ふる形見なめり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石) いち‐じゅう‥ヂュウ【一重】 [ 1 ] 〘 名詞 〙① 重箱、また塔などのように重なったものの、ひとかさね。ひとえ。〔日葡辞書(1603‐04)〕② ( 形動 ) ひときわ程度のはなはだしいこと。一段ときわだっているさま。[初出の実例]「まづ世間の名利をすつる、一重の妄苦をはなるるはじめなり」(出典:貞享版沙石集(1283)四)[ 2 ] 〘 副詞 〙 いっそう。一段と。[初出の実例]「一重上(うえ)を坡が云たぞ」(出典:玉塵抄(1563)三一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例