精選版 日本国語大辞典 「あぜ」の意味・読み・例文・類語
あぜ
- 〘 副詞 〙
- ① 上代東国方言。
- ② 近世の用法。
- (イ) なぜ。どうして。どういうわけで。
- [初出の実例]「なぜと云事を〈略〉総州及東奥にて、あぜといふ」(出典:物類称呼(1775)五)
- (ロ) ( 感動詞のように用いて ) あれまあ、なんとまあ、おや、というような軽い驚きと疑問の意を表わす。
- [初出の実例]「『アイそんなら。コレサかるく盛てくんな』『アゼひだるいといはっしゃりましたじゃアおざんねへか』」(出典:洒落本・道中粋語録(1779‐80頃))
- (イ) なぜ。どうして。どういうわけで。
あぜの語誌
( 1 )「万葉集」では、巻一四の東歌にのみその用例が確認され、「あど」と同様、東国語と考えられる。以降、「物類称呼」まで、文献資料には用例を見出しがたい。
( 2 )近世になると、洒落本「道中粋語録」、滑稽本「東海道中膝栗毛」、咄本「蝶夫婦」などに見られるが、東国の方言として扱われている。