草を結ぶ(読み)クサヲムスブ

デジタル大辞泉の解説

草(くさ)を結(むす)・ぶ

草を結んで、生命の安全や旅の無事を願う上代の習俗。
《結んだ草を枕にすることから》旅で野宿する。
《娘を助けてもらった父の霊が、草を結んで恩人の敵をつまずかせ、恩返ししたという「春秋左伝」の故事から》恩に報いる。結草

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大辞林 第三版の解説

くさをむすぶ【草を結ぶ】

健康・長寿・旅の安全などを祈るため、また吉凶を占うため、草の葉や茎を結ぶ。古代人の習俗。 「妹が門かど行き過ぎかねて草結ぶ風吹き解くなまたかへり見む/万葉集 3056
野山を行く時、草を結んで道しるべとする。 「 - ・びつぞ行かむとする、其れを見て注しるしとして来たるべし/今昔 19
旅で野宿をする。旅寝をする。 「君が舟泊て草結びけむ/万葉集 1169
〔晋しんと秦の戦いの時、娘の命の恩人、晋の魏顆のために亡父の霊が草を結んで、秦の杜回をつまずかせ、恩返ししたという「左氏伝宣公十五年」の故事から〕 恩に報いる。 「只是犬川・犬田に代りて窃ひそかに-・びし也/読本・八犬伝 8

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精選版 日本国語大辞典の解説

くさ【草】 を 結(むす)

の葉や茎を結んで、そこに自分の霊魂を結び込めて、生命の安全、旅の無事、幸運の持続などを願う上代の呪術的な習俗。また、結んだ草が解けてしまうかどうかで吉凶の占いともした。草根を結ぶ
※万葉(8C後)一二・三〇五六「妹が門行き過ぎかねて草結(くさむすぶ)風吹き解くな又顧りみむ」 〔通俗編‐神鬼・結草〕
② (草を結んで仮の枕とするの意で) 旅寝をする、また、草庵を営む。
※万葉(8C後)七・一一六九「近江の海湊(みなと)は八十(やそち)いづくにか君が船泊(は)て草結(くさむすび)けむ」 〔後漢書‐李恂伝〕
③ 道なき山野などを行く時、後から来る者への道しるべとして草で結び目をつくる。
※今昔(1120頃か)一九「草を結(むすび)つつぞ行かむと為る、其を見て注(しるし)として可来し」
④ (娘の生命を助けてくれた晉の魏顆に恩を返すため、顆が秦の杜回と戦った時、その娘の父親が現われ、草を結んで杜回をつまずかせて助けたという「春秋左伝‐宣公一五年」の故事から) 恩に報いる意のたとえ。
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)八「大かたならぬ志の報ひを茲に致せしは、只是犬川・犬田に代りて竊(ひそか)に草を結びし也」 〔李密‐陳情表〕

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