デジタル大辞泉 「草を結ぶ」の意味・読み・例文・類語 草くさを結むす・ぶ 1 草を結んで、生命の安全や旅の無事を願う上代の習俗。2 《結んだ草を枕にすることから》旅で野宿する。3 《娘を助けてもらった父の霊が、草を結んで恩人の敵をつまずかせ、恩返ししたという「春秋左伝」宣公一五年の故事から》恩に報いる。結草。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「草を結ぶ」の意味・読み・例文・類語 くさ【草】 を 結(むす)ぶ ① 草の葉や茎を結んで、そこに自分の霊魂を結び込めて、生命の安全、旅の無事、幸運の持続などを願う上代の呪術的な習俗。また、結んだ草が解けてしまうかどうかで吉凶の占いともした。草根を結ぶ。[初出の実例]「妹が門行き過ぎかねて草結(くさむすぶ)風吹き解くな又顧りみむ」(出典:万葉集(8C後)一二・三〇五六)[その他の文献]〔通俗編‐神鬼・結草〕② ( 草を結んで仮の枕とするの意で ) 旅寝をする、また、草庵を営む。[初出の実例]「近江の海湊(みなと)は八十(やそち)いづくにか君が船泊(は)て草結(くさむすび)けむ」(出典:万葉集(8C後)七・一一六九)[その他の文献]〔後漢書‐李恂伝〕③ 道なき山野などを行く時、後から来る者への道しるべとして草で結び目をつくる。[初出の実例]「草を結(むすび)つつぞ行かむと為る、其を見て注(しるし)として可来し」(出典:今昔物語集(1120頃か)一九)④ ( 娘の生命を助けてくれた晉の魏顆に恩を返すため、顆が秦の杜回と戦った時、その娘の父親が現われ、草を結んで杜回をつまずかせて助けたという「春秋左伝‐宣公一五年」の故事から ) 恩に報いる意のたとえ。[初出の実例]「大かたならぬ志の報ひを茲に致せしは、只是犬川・犬田に代りて竊(ひそか)に草を結びし也」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)八)[その他の文献]〔李密‐陳情表〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例