朝日日本歴史人物事典 「荒木東明」の解説
荒木東明
生年:文化14(1817)
幕末明治期の装剣金工家。米商と貸物屋を営む与平の長男として京都十二組大猪熊町に生まれた。初名を秀信,のちに芳之進。号銘に一斎,今松亭,白玉堂などがあり,晩年には基仲と号した。13歳で後藤東乗に師事し,後年,後藤一乗の門下となり,それぞれの師から東明,一斎の名を許された。作品は鐔,縁頭,目貫などで,そのほとんどに東明あるいは一斎東明と刻んでいる。代表的作品に「粟穂図揃金具」(個人蔵)がある。粟穂の彫刻は,東明一流の特技といえ,画工林蘭雅との交際によってその下絵ができたものという。たわわに実った粟穂を特殊鏨で精巧かつ写実的に表している。<参考文献>東京国立博物館編『日本の金工』
(加島勝)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報