国指定史跡ガイド 「荒神山古墳」の解説
こうじんやまこふん【荒神山古墳】
滋賀県彦根市日夏町・清崎町ほかにある古墳。琵琶湖東岸の湖東平野にそびえる標高284mの荒神山の、山頂から北へ下った尾根の頂部に築かれた前方後円墳。荒神山周辺は古代には東大寺領の荘園が置かれ、中世には荒神山城が築かれた、重要な地域であった。当時は山裾まで湖岸が迫っており、今でも古墳のある場所からは琵琶湖北部を一望できる。2002年(平成14)からの調査によって、全長124m、後円部の径80m、前方部の長さ53m、くびれ部の幅52mという大きさで、3段に築成されていることがわかった。各段のテラスには円筒埴輪(はにわ)や家形埴輪などがめぐらされ、墳丘は葺石(ふきいし)で覆われていた。滋賀県下では2番目の規模をもち、埋葬施設の調査は行われていないが、埋葬された首長は湖東地域の北部を統括した人物と推測され、埴輪の形態から古墳時代前期の末ごろに築造されたと考えられる。2011(平成23)に国指定の史跡になった。JR東海道本線河瀬駅から車で約10分。