日本歴史地名大系 「蓁原郷」の解説 蓁原郷はいはらごう 徳島県:阿波国美馬郡蓁原郷「和名抄」高山寺本は「波以波良」、同書伊勢本・東急本は「波都波良」と読む。同書名博本は「ハイハラ」の訓を付す。昭和三二年(一九五七)刊の笠井藍水「新編美馬郡郷土誌」はハイバラはハイハラの音便変化であり、ハイ・ハルは開墾の意味であり地名に例が多いとし、その点で高山寺本の訓注のほうが正しいとする。「阿府志」は「拝原井ノ尻脇町岩倉ノアタリ」、「阿波志」は「今称拝原」としており、一致して現脇(わき)町拝原(はいばら)を遺称地とし、拝原を含めた吉野川北岸の阿波郡に接する地に郷の広がりを比定している。 蓁原郷はいばらごう 静岡県:遠江国蓁原郡・榛原郡蓁原郷「和名抄」諸本にみえる郷名。東急本に「波以八良」の訓がある。蓁原公氏(「類聚国史」天長九年七月八日条など)の本拠と思われる。「遠江国風土記伝」は上泉(かみいずみ)・源助(げんすけ)以下の二三村、すなわち大井川下流域の現藤枝市源助・善左衛門(ぜんざえもん)、現大井川町、現吉田(よしだ)町川尻(かわしり)・大幡(おおはた)にかけての地とする。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報