類聚国史(読み)るいじゅこくし

精選版 日本国語大辞典 「類聚国史」の意味・読み・例文・類語

るいじゅこくし【類聚国史】

平安前期の史書。二〇〇巻、目録二巻、帝王系図三巻(現存六一巻、抄出本一巻)。菅原道真編。寛平四年(八九二)成立。六国史の記事を神祇・帝王・後宮・人・歳時・音楽などに部類し、時代順に配列し、検索の便をはかったもの。「三代実録」による部分は後人の補筆。古代史研究の根本史料の一つ。

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デジタル大辞泉 「類聚国史」の意味・読み・例文・類語

るいじゅこくし【類聚国史】

平安前期の歴史書。200巻、目録2巻、帝王系図3巻。現存は61巻。菅原道真編。寛平4年(892)成立。六国史りっこくしの記事を神祇じんぎ・帝王・歳時・音楽などに分類し、年代順に編集したもの。「三代実録」の部分は後人の加筆。

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百科事典マイペディア 「類聚国史」の意味・わかりやすい解説

類聚国史【るいじゅうこくし】

菅原道真の著書。中国の類書(るいしょ)にならって,《日本書紀》から《日本文徳天皇実録》までの五国史の記事を検索の便のため部門別に分類。892年成立。本編200巻,目録2巻,系図3巻のうち61巻が現存,逸文1巻。六国(りっこく)史を補うものとして重要。
→関連項目競馬群書類従国史大系

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改訂新版 世界大百科事典 「類聚国史」の意味・わかりやすい解説

類聚国史 (るいじゅうこくし)

菅原道真の著書。200巻,目録2巻,系図3巻。現存61巻,逸文1巻。892年(寛平4)成る。中国で流行した《芸文類聚》《初学記》などの類書にならい,編年体である《日本書紀》以下《文徳実録》にいたる五国史の記事を,神祇,帝王,後宮,人,歳時,政理など部門別に分類しなおして,検索の便をはかったもの。《文徳実録》に続く《三代実録》関係の記事は後人の増補とする説もある。政務儀式に役だてるために作られたのだが,分類の仕方に道真の見識がうかがえる。平安時代を通じて六国史はおのおのの原典によらず,本書を通じて利用されたらしいが,今日では《日本後紀》そのほか六国史の逸文を補うものとして貴重である。《新訂増補国史大系》所収。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「類聚国史」の意味・わかりやすい解説

類聚国史
るいじゅうこくし

平安時代に編纂(へんさん)された史書。892年(寛平4)菅原道真(すがわらのみちざね)が勅を奉じて編集。『日本書紀』以下の五国史の記事を、神祇(じんぎ)、帝王、歳時、音楽、政理、刑法など十数部に分けて編集したものである。撰者(せんじゃ)道真の左遷後に撰修奏上された『日本三代実録』の文が『類聚国史』に載せられていることから、のち何人かによる増補があったとも伝えられる。六国史(りっこくし)の記事の検出に便利であるのみならず、『日本後紀』の欠失を補うなど、古代史研究には欠かせない基本史料である。本来は本史200巻、目録2巻、帝王系図3巻からなる大部なものであった(仁和寺(にんなじ)書籍目録)が、応仁(おうにん)の乱以降散逸し、現在は61巻を残すのみである。従来、仙石政和(せんごくまさかず)校訂本が善本といわれてきたが、「国史大系」本は諸本を校合し、その異同を知るうえでも便利である。

[矢野建一]

『黒板勝美校訂、国史大系編修会編『類聚国史』全5冊(1979、吉川弘文館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「類聚国史」の意味・わかりやすい解説

類聚国史
るいじゅうこくし

編年体の六国史の記事を内容によって分類し,検索の便をはかった書物。 200巻。菅原道真撰。宇多天皇の命を受けて分類,寛平4 (892) 年奉ったといわれる。各記事を 20前後の大項目に分け,それをさらに多くの細目に分っている。中国の類書の形態を継承。ただ神祇部 20巻の巻一,二は『日本書紀』の神代巻をそのまま転載したもので,本来編年体ではないため分類していない。分類した目的は,実際の政治の運用に資するためにあった。現存するのはわずか 61巻。なお,目録2巻のほか,帝王系図3巻も添えられていたらしい。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「類聚国史」の解説

類聚国史
るいじゅうこくし

六国史(りっこくし)の記事を,神祇・帝王・後宮・歳時・音楽・政理・刑法・職官・田地・祥瑞・災異・仏道・風俗などの諸事項に分類し,年代順に配列した史書。本編200巻・目録2巻・帝王系図3巻。892年(寛平4)菅原道真が宇多天皇の勅命により撰進したものであるが,道真の左遷(901)後ほどなく,「三代実録」の記事が付加された。本書はすでに平安末期には散逸したようであるが,1815年(文化12)61巻を集めて校合・公刊された。のち1巻を加えて「国史大系」に収める。六国史の記事検出に便利であるうえ,散逸した「日本後紀」の逸文を引用しているなど,六国史の欠落を補う意味でも貴重である。「国史大系」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「類聚国史」の解説

類聚国史
るいじゅうこくし

平安前期の歴史書
892年成立。本史200巻,目録2巻,帝王系図3巻。現存61巻,抄本1巻。菅原道真 (すがわらのみちざね) 編。六国史の記事を事項別に分類し年代順に収録したもの。六国史の記事検索に便利であり,『日本後紀』の欠を補う古代史研究の重要史料。

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世界大百科事典(旧版)内の類聚国史の言及

【図書館】より

…また,菅原道真はその書斎文庫の紅梅殿(こうばいどの)を他人にも公開したといわれる。彼はまた《類聚(るいじゆう)国史》を撰しているが,これは,そのときまでに出た六国史それぞれの中から事項別に原文を抜粋し編集したもので,カード(短札)方式による知識情報の処理の最初の例ともいえる。この〈類聚〉という考え方こそ,後の塙保己一(はなわほきいち)の《群書類従》,明治政府の《古事類苑》などに通じる類書的発想,ひいては今日の情報管理の原則たる知りたい知識情報そのものへの接近を可能ならしめる工夫である索引,抄録の思想につながるものである。…

【百科事典】より

…平安時代も中期に入ると,中国への関心とともに日本を対象化してとらえようとする動きがみられるようになる。菅原道真が六国史のすべての記事を分類再編成して,《類聚(るいじゆう)国史》200巻(うち現存は61巻)を作ったのはその例の一つで,その分類と編成の枠組みは,中国の類書にならいながらもそれを改編し,六国史の世界に内在する原理をとらえたものであった。その編成は,日本的な類書の構成の原型となり,後世の和学に大きな影響を与えた。…

※「類聚国史」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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