薬師坂(読み)やくしざか

日本歴史地名大系 「薬師坂」の解説

薬師坂
やくしざか

[現在地名]里美村上深荻

国道三四九号(旧棚倉街道)国木平くにぎだいらの南、水府村東染ひがしぞめへ向かう道と分岐する辺りの坂。これより一〇〇メートル余南の十殿じゆうどの坂までは屈折と坂で見通しが悪い。西側は断崖で東側は急傾斜の山腹となっている。

この辺一帯で、延徳元年(一四八九)会津の蘆名盛高・伊達尚宗・白河結城政朝の連合軍と、佐竹義治の臣小野崎通綱が戦った。「佐竹大系纂」(佐竹寺蔵)によれば小野崎氏は衆寡敵せず正攻法では勝利は不可能と判断し、奇策をたて「大将ノ命ヲ蒙リ御名代ニ御名ヲ名乗」って戦って討死し、連合軍は小野崎通綱の死を佐竹義治と誤認した。義治は自分の身代りとなった小野崎氏のため「深来(荻)討死ノ所ニ堂ヲ建、薬師如来ヲ安置シ玉フ」という。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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