20世紀日本人名事典 「藤巻卓次」の解説
藤巻 卓次
フジマキ タクジ
昭和期の農業家 安中公害闘争リーダー。
- 生年
- 明治32(1899)年4月19日
- 没年
- 平成2(1990)年8月3日
- 出生地
- 群馬県安中市岩井
- 経歴
- 安中市に東邦亜鉛安中製錬所が出来て、昭和13年ごろから深刻な農業被害が続出。戦後23年に東邦亜鉛が工場の大拡張を計画したことから24年藤巻は公害反対運動に立ち上がる。25年には吉田茂首相に直訴。42年同社は再び、電気亜鉛生産の大増設計画を発表、東京電力の一方的着工をきっかけに農民60人が送電線設置・工場拡張反対期成同盟を結成、藤巻は委員長となったが、東邦亜鉛、東電、市幹部による猛烈な切り崩しで同盟員は激減した。しかしカドミウム公害の一般認識が高まり、政党や青年法律家協会、安中公害被害住民の代表大塚忠らの支援で闘いは続けられ、45年2月、ついに通産省の拡張認可は取り消された。47年に安中公害同訴訟が開始され、57年原告勝訴の判決となった。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報