藤方村(読み)ふじかたむら

日本歴史地名大系 「藤方村」の解説

藤方村
ふじかたむら

[現在地名]津市藤方・城山しろやま三丁目

垂水たるみ村の南に続く。海岸の背後に低湿地が続き、その西の段丘状台地の裾に集落が並び、伊勢参宮街道が南北に通る。文禄検地帳を転記したと思われる伊勢国中御検地高帳の一志郡に「藤方村」として現れる。この名は「勢陽雑記」に幹の周囲三抱えばかりの藤の大木があったことによると記している。しかし当地を詠んだ古歌に「藤潟の松」は多いが、藤の木はまったく詠われていない。「日本書紀」雄略天皇一七年三月二日の条に、天皇の食器を調進する贄土師部の一つに「伊勢国藤形村」とみえる。近時その遺跡とおぼしきものを指摘する向きもあるが、まだ定説とはなっていない。「皇太神宮儀式帳」に、倭姫命が各国を巡歴するなかで、安濃あのう国から「壱志藤方片樋宮坐」とあり、ここから阿佐鹿あさかの悪神を平げたことを記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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