藤樹書院跡(読み)とうじゅしょいんあと

国指定史跡ガイド 「藤樹書院跡」の解説

とうじゅしょいんあと【藤樹書院跡】


滋賀県高島市安曇川(あどがわ)町にある邸宅跡。JR安曇川駅の南東約1.2kmに位置し、日本陽明学の祖、中江藤樹(1608~48年)の住居跡で私塾跡。建物は藤樹の自宅がせまくなったため、彼が没する半年前の1648年(正保5)に門弟や村人たちの協力によって完成し、1882年(明治15)に現在のものが再建された。内部には藤樹直筆の「致良知(ちりょうち)」の書をはじめ遺品や遺物が数多く展示され、光格天皇が書院に命名した「徳本堂」の額などを掲げている。敷地内に藤樹が大切にしていた藤の老木があり、門人から藤樹と呼ばれるようになったという。藤樹は生涯をとおして師につくことがなく、ひたすら独学によって一貫して人間の道を探求し続け、37歳で陽明学に出会うと身分の上下を超えた平等思想を説き、商人などからも支持され、近江聖人と呼ばれた。彼の学統には、熊沢蕃山(ばんざん)や大塩平八郎、吉田松陰(しょういん)などがいる。1922年(大正11)に国の史跡に指定され、2007年(平成19)に追加指定を受けた。JR湖西線安曇川駅から徒歩約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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