朝日日本歴史人物事典 「藤野喜兵衛」の解説
藤野喜兵衛
生年:生年不詳
江戸後期,松前藩の城下町松前(北海道松前町)の有力場所請負商人。近江国(滋賀県)愛智郡下枝村の百姓藤野四郎兵衛(5代)の弟(子とも)。天明1(1781)年松前に渡り,親族万屋増蔵の店(太物・小間物商)に勤め,寛政12(1800)年独立して松前に店を構えた。屋号を柏屋,店印を〓と称し,海運業に従事,文化3(1806)年西蝦夷地の上・下余市場所を請け負ったのを契機に漁業経営に力を注いだ。特に東西蝦夷地幕領期に西蝦夷地宗谷・斜里場所,東蝦夷地国後場所を請け負って急成長をとげた。文政4(1821)年の松前氏復領後は,幕領期の請負場所を継続,文政6(1823)年新たに利尻・レブンシリ場所を請け負い,漁場経営を本格化した。この間手船長者丸が松前藩の御召船,藤野家預りとなり,また藩の御用達になって藩権力との結合を次第に強め,伊達林右衛門,栖原六郎兵衛と並ぶ有力場所請負人としての基礎を築いた。<参考文献>『松前町史 通説編』1巻
(榎森進)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報