虫撰び(読み)むしえらび

改訂新版 世界大百科事典 「虫撰び」の意味・わかりやすい解説

虫撰び (むしえらび)

虫えらみ,撰虫,虫えらい,虫合(むしあわせ)ともいう。野外に出て,虫を撰び採り,美しく飾った虫籠に入れて宮中に奉った殿上人の遊び。堀河天皇の時代(1100年前後)から始められたという。虫合は種合(くさあわせ),貝合などの物合の一つで,種々の鳴く虫などを持ち寄って鳴声や姿の優劣を競った。別に儀式ばったことではなく,嵯峨野あたりの散策で虫を集めたらしい。これはのちに虫の歌合などに発展した。これはそれぞれ虫にちなんだ歌を詠み,虫や歌の優劣を競う遊びである。そしてこれらの遊びは近世になって虫の歌を多く集めたり,虫の名を多くあげたりする〈虫づくし〉に変わってきたと思われる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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