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物合 ものあわせ

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世界大百科事典 第2版の解説

ものあわせ【物合】

左方,右方に分かれ,たがいに物を出し合って優劣を競い,判者(はんじや)が勝敗の審判を行い,その総計によって左右いずれかの勝負を決める遊戯。物合は歌合,相撲(すまい),競馬(くらべうま),賭射(のりゆみ)などとともに〈競べもの〉の一種であるが,歌合,詩合などをも含む広範囲に及ぶ各種の合わせものを一括していうことも多い。平安時代宮廷貴族社会を中心に行われ,一般にも普及し後世に及ぶ。清少納言は《枕草子》の〈うれしきもの〉の条に〈物合,なにくれといどむことに勝ちたる,いかでかはうれしからざらむ〉と記している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

物合
ものあわせ

ある定められた事物を持ち寄って比べ、その優劣によって勝負を争う遊戯を広く物合と称する。左右両方に分かれて競い、判定のために判者が置かれるのが基本的な形式であるが、盛大に行われる場合には、ほかに左右双方に頭(とう)、念人(ねんにん)(応援者)や勝負の記録を担当する籌刺(かずさし)が置かれ、舞楽が奏されることもあった。古く『日本書紀』にも鶏を闘わせたことが記されているように(雄略7年8月)、二つのものの優劣を競い合うこと自体は、遊戯としてきわめて素朴な発想によるものであり、その明確な起源は知りがたい。しかし物合が貴族社会の娯楽として盛大かつ形式的に整った儀式的なものとなっていく過程には、同じく左右に分かれて競うという共通点をもつ相撲(すまい)の節会(せちえ)、賭弓(のりゆみ)、競馬(くらべうま)といった儀式の影響を想定しうる。
 比べる事物としては、動物(鳴き声、姿、強弱)、植物などの自然の物から工芸品、才芸まで、とくに限定があるわけではなく、闘鶏(とりあわせ)、闘犬、闘牛、虫合、闘草(くさあわせ)(草合)、前栽(せんざい)合、菖蒲根(しょうぶね)合、瞿麦(なでしこ)合、女郎花(おみなえし)合、萩(はぎ)花合、菊合、花合、紅葉合、貝合、角合、扇合、琵琶(びわ)合、小筥(こばこ)合、物語合、双紙合、絵合、歌合、今様合、験合など多種多様にわたる。また、競技の際には、比べる物にちなんで詠まれた和歌が添えられて、出し物とあわせて判定の対象となることがあったが、歌道、なかんずく平安後期以降の歌合の盛行とともに、その和歌の占める比重が漸次大きくなり、物合は一種の文芸的な遊戯の色合いを濃くしていった。[杉本一樹]

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