虫明村(読み)むしあげむら

日本歴史地名大系 「虫明村」の解説

虫明村
むしあげむら

[現在地名]邑久町虫明

現邑久町の最東端に位置し、海岸は溺れ谷地形で海に山が迫り、海岸線はきわめて複雑な地形をなしている。北は東西に連なる二六〇メートル級の丘陵を境に鶴海つるみ(現備前市)、西は福谷ふくたに村。福岡ふくおか(現長船町)から佐山さやま(現備前市)を通り、八反はつたん峠を越えて福谷村を経て当地に至る虫明往来がある。虫明湾は村の南に浮ぶなが島に遮られて天然の良港となっており、古代から潮待ち・風待ちの港として利用されていた。虫明瀬戸むしあけのせとを詠んだ詩歌が数多く残されている。

「山槐記」治承三年(一一七九)六月二二日条によると、同月一一日安芸厳島神社参詣途次の平清盛乗船の船が「虫上」を経て「牛間戸」(牛窓)に寄港している。文安二年(一四四五)の「兵庫北関入船納帳」によれば、ナマコ・材木を積んだ「虫上」からの船が兵庫北関へ入津している。また「続日本紀」延暦三年(七八四)一〇月三日条によれば、長島に備前国児島こじま郡小豆島(現香川県小豆郡)にあった官牛の牧が移されており、「延喜式」にも「備前国長嶋馬牛牧」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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