蚕卵紙(読み)サンランシ

大辞林 第三版の解説

さんらんし【蚕卵紙】

カイコの蛾に卵を産みつけさせる厚紙。たねがみ。蚕紙。 [季] 春。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

蚕卵紙
さんらんし

蚕蛾(かいこが)に卵を産み付けさせた紙。蚕種紙、「たねがみ」ともいう。半紙を10枚ぐらいあわせた厚地の日本紙を用い、大きさは、蚕糸業法施行規則では、縦35.4センチメートル、横22.4センチメートルの厚紙とされていた。蚕卵紙は幕末から明治初年にかけて、当時ヨーロッパに微粒子病が蔓延(まんえん)し、健全な蚕種を海外に求めたため、わが国の重要輸出品となった。「第2回内国勧業博覧会報告」によると、「我が蚕卵紙の輸出一たび起り、随(したがい)て養蚕家は一時非常の大利を占め、一枚の卵紙を製すれば其価(そのあた)い殆(ほとん)ど九弗(ドル)余の高価に達せり」と記されている。この盛況は同時に蚕種の粗製濫造の弊害を激化し、輸出は1875年(明治8)ごろより減少していった。蚕卵紙の生産は長野、埼玉、山形、群馬、福島の諸県に多く、その生産、販売に関する者は富農層に多かった。[伝田 功]
『高橋経済研究所編『日本蚕糸業発達史 上巻』(1941・生活社)』

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