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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
和紙の一種。《延喜式》の紙屋院(中央の官営製紙所)の漉簀(すきず)の規格寸法から推定すると,だいたい1尺3寸に2尺3寸(1尺は約30.3cm)が全紙の標準の大きさだったと思われ,したがってそれを半裁したものが古代の半紙と想像されるが,詳細は不明である。《好古小録》(1795)には古代の半紙の寸法は,縦1尺ほど,横1尺3寸ないし1尺4寸と記されている。半紙という名称は《正倉院文書》にも現れているが,広く大衆化して用いられるのは江戸時代で,良質と評判の高かった岩国半紙をはじめとして,山代半紙,大洲半紙,石州半紙など各地ですかれた。規格は大半紙,小半紙などに分かれ,各産地でも少しずつ違っていたが,標準としては,縦8寸,横2尺2寸の紙を半分に切った縦8寸,横1尺1寸の寸法である。用途は幅広く,明治以後は大量に習字に用いられた。現在,伝統的な半紙としては,広い用途をもつ石州半紙(現在の規格は縦8寸2分,横1尺1寸6分)が島根県浜田市の旧三隅町ですかれている。また書道半紙の産地としては,愛媛県四国中央市の旧川之江市などがあげられる。なお半紙を延紙(のべがみ)の半裁とする説があるが,江戸時代の延紙の寸法がだいたい縦7寸に横9寸で,小半紙とほぼ同じくらい小さな判なので誤りであろう。延紙は柔軟な紙で鼻紙などとして用いられた。
→改良半紙
執筆者:柳橋 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
和紙の一種。古く760年(天平宝字4)の『正倉院文書』に初めてこの名がみられるが、この場合はただ半分に切った紙をさしたと思われ、半紙が和紙の一種として通用するようになったのは、室町時代以後である。延紙(のべがみ)(小形の杉原紙)を半分に切って使ったことから半紙といったが、江戸時代には最初からこの半紙の大きさで漉(す)くようになり、用途が広まるにつれて、形も少し大きい縦25センチメートル、横35センチメートル程度の手ごろな大きさに仕立てられた。18世紀以後は全国の各藩で増産されたが、もっとも多く生産したのは周防(すおう)と長門(ながと)(ともに山口県)であった。またとくに良質で知られたのは筑後(ちくご)(福岡県)の柳川(やながわ)半紙で、周防の岩国半紙がこれに次いだ。これらは最初コウゾ(楮)を原料としていたが、江戸末期からはミツマタ(三椏)を原料とした駿河(するが)半紙が出始めたため、明治時代以降はこれを改質した改良半紙が一般化した。現在は機械漉きにより、ミツマタ以外に木材パルプや藁(わら)なども混入したものが普通となっている。なお市販品には白紙のほかに罫紙(けいし)もあり、20枚が一帖(じょう)とされている。
[町田誠之]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…半紙は本来,純粋にコウゾのみですいたものであったが,原料不足のために江戸時代から栽培がはじまったミツマタを代用原料とした半紙が盛んに生産されるようになった。まず駿河地方でつくられたが,色が赤みを帯びて墨汁がにじみ,墨で書くのに不便であった。…
※「半紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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