蛇王の碑(読み)じゃおうのひ(英語表記)Tombstone of King Snake

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蛇王の碑」の意味・わかりやすい解説

蛇王の碑
じゃおうのひ
Tombstone of King Snake

古代エジプト,古拙時代 (前 3100頃~2686頃) の第1王朝時代のアビドスにあるウアジ王の墓で発見された石碑浮彫で表わされているたかはホルス神を象徴し,エジプト王がホルス神の後裔であることを示している。たかの足元の枠に,この王のホルス名であるチャ Chaがへびの象形文字で記されている。その下は宮殿を暗示している。これは統一国家としての王権が同時に神権を伴っているものであること,しかも王が死後の世界を永遠に生き続けるためのあかしであることを意味している。ここに 3000年にわたるエジプト美術を支配した宗教的性格と芸術的特質が示され,簡潔で力強い構成がこの作品の芸術性を高めている。全高 2.49m,幅 0.6m。石灰石製。ルーブル美術館蔵。

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世界大百科事典(旧版)内の蛇王の碑の言及

【エジプト美術】より


[初期王朝時代]
 統一王朝の現れた前3000年ころには建築も急速に発展した。住宅の遺構そのものは乏しいが,有名な《蛇王の碑》などに描かれる〈宮殿正面〉は,規則的に設けられた角塔と1対の入口,壁面につけられた装飾的なニッチ(壁龕(へきがん))やバットレス(控壁)など,当時の宮殿の外観をよく示している。〈宮殿正面〉のモティーフは石棺や王墓の外壁面にもしばしば用いられた。…

※「蛇王の碑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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