( 1 )コウモリの広げた翼にヒントを得て作られたかという〔名語記・河海抄・塵添壒嚢抄・古今沿革考〕。威儀用の檜扇に対し、略式なものであったらしい。
( 2 )初めは細骨の片面にだけ紙を張った上に絵を描き、五本骨、七本骨などの種類があった。室町時代には骨の両面に紙を張る今日の扇子の祖型ができ、金銀泥絵などの華美なつくりとなった。先端を強く反らせたものを末広ともいう。
( 3 )一二世紀はじめの「源氏物語絵巻」に描かれており、実物は厳島神社蔵のものがある。
…この女子の檜扇を一名衵扇(あこめおうぎ)ともいう。
[蝙蝠扇(かわほりおうぎ)]
紙扇も平安時代に極度に発達し,これが檜扇とともに中国に渡り,さらに中国からヨーロッパにひろまっていった。はじめ紙扇は〈かわほり〉と称され,その骨は紙の片面に出ていて数も5本くらいであったが,平安時代末ころから7本,8本,10本と数を増していった。…
…扇絵ともいう。日本の扇は,ヒノキ(檜)の薄板を綴じ合わせた檜扇(ひおうぎ)と,紙を折りたたみ竹の骨をつけた蝙蝠扇(かわほりおうぎ)の2種が平安時代以来用いられた。前者は儀礼用で,実際に涼をとるのに用いられたのは夏扇と呼ばれた後者である。…
※「蝙蝠扇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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