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源氏物語絵巻 げんじものがたりえまき

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

源氏物語絵巻
げんじものがたりえまき

源氏物語』の絵画化として現存最古の遺例であり,絵巻物としても最も質の高い作品。 54帖の物語からそれぞれ1~3場面を選んで絵画化し,対応する本文の一節を美しい料紙に写して挿入,絵巻として鑑賞させたもの。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

源氏物語絵巻

12世紀に描かれた現存する最古の絵巻物。全部で4巻分が残っており、3巻15場面を徳川美術館、1巻4場面を東京の五島美術館が所蔵している。

(2015-11-14 朝日新聞 朝刊 1社会)

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デジタル大辞泉の解説

げんじものがたりえまき〔ゲンジものがたりヱまき〕【源氏物語絵巻】

源氏物語の諸場面を絵画化した絵巻物。物語成立以降、各時代を通じて作られ、現存するものも多い。特に12世紀前半の作で藤原隆能(ふじわらのたかよし)筆とされるもの(徳川黎明会五島美術館分蔵)は有名。典型的な作り絵技法によって濃密に描かれ、引目鉤鼻(ひきめかぎはな)吹き抜き屋台などの手法にすぐれる。

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百科事典マイペディアの解説

源氏物語絵巻【げんじものがたりえまき】

平安時代の代表的絵巻。《源氏物語》54帖から興味深い場面を選び出して絵を加えたもので,もとは大部のものと推定されるが,現在は13帖分に当たる詞(ことば)20段,絵19段しか残っていない。
→関連項目絵巻詞書徳川美術館

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世界大百科事典 第2版の解説

げんじものがたりえまき【源氏物語絵巻】

平安時代の代表的絵巻物の一つ。《源氏物語》の絵画化,すなわち源氏絵は,物語成立後まもなくはじめられ,中世・近世を通じて愛好された。そのなかで現存する最古の作品が徳川黎明会(尾張徳川家伝来)と五島美術館(阿波蜂須賀家伝来)に分蔵されている《源氏物語絵巻》である。この徳川・五島本は,《源氏物語》54帖中,〈蓬生(よもぎう)〉から〈東屋〉までの12帖,19場面の絵と詞書20段から成り,現在は額装に仕立てられている。

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大辞林 第三版の解説

げんじものがたりえまき【源氏物語絵巻】

源氏物語を主題にした絵巻物。平安時代以降数多く作られ、現存するものでは伝藤原隆能たかよし筆とする極彩色のもの(徳川黎明会・五島美術館蔵)が有名。1120~40年の作といわれ、「引目鉤鼻かぎばな」の技法を用いている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

源氏物語絵巻
げんじものがたりえまき

絵巻。愛知・徳川美術館ならびに東京・五島(ごとう)美術館蔵。いずれも国宝。紫式部の『源氏物語』を題材としたもので、徳川本はもと3巻、五島本はもと1巻の巻物であったが、現在はいずれも各段ごと詞(ことば)と絵とを離して、額装(徳川本43面、五島本13面)に改められている。徳川本は「蓬生(よもぎう)」「関屋(せきや)」「絵合(えあわせ)」「柏木(かしわぎ)」「横笛(よこぶえ)」「竹河(たけかわ)」「橋姫(はしひめ)」「早蕨(さわらび)」「宿木(やどりぎ)」「東屋(あずまや)」などの巻から抜粋した詞16段(28面)と絵15図を、五島本は「鈴虫(すずむし)」「夕霧(ゆうぎり)」「御法(みのり)」の巻から抜粋した詞4段(9面)と絵4図とを伝える。このほかにも「末摘花(すえつむはな)」「松風(まつかぜ)」「薄雲(うすぐも)」「少女(おとめ)」「蛍(ほたる)」の巻の詞の断片が諸家に伝存。あわせて源氏54帖(じょう)のうち18帖、詞25段、絵19図が残っていることになる。なお近年、東京国立博物館の「若紫」図も本絵巻の断簡との説が出ている。現存諸巻の配列関係の状態から推定して、この絵巻は54帖の各巻のなかから数段ずつの場面を選んで構成し、全体ではおよそ10巻程度の作品であったとみられる。詞は『源氏物語』の本文のなかから絵画化にふさわしいと思える箇所を抜き出し、流麗な仮名文字で書かれる。その書風は5種に分類され、5人の手になったとみられるが、いずれも平安書道の名筆に価し、ことに「柏木」「御法」などの詞書にみられる散らし書きや重ね書きの美しさは、仮名の造形美の極致を示すものといえる。詞をしるした料紙は金銀の砂子をまき、野毛や切箔(きりはく)を散らし、あるいは描き文様を施すなど、装飾の善美が尽くされている。
 絵は「作り絵」の画風で描かれ、濃麗な色彩を重ねた典雅で優艶(ゆうえん)な画面は、一種の装飾画的な趣(おもむき)をたたえる。絵巻の大半を占める屋内の描写には「吹抜屋台(ふきぬきやたい)」の手法が用いられる。これは寝殿造(しんでんづくり)の屋台から屋根や天井を取り去り、斜め上方から室内を見下ろす俯瞰(ふかん)的な構図法で、『源氏物語』のような王朝貴族の室内生活を中心とした物語の絵画化には最適な手法といえる。人物は、当時貴族の顔貌(がんぼう)表現の典型である「引目鈎鼻(ひきめかぎはな)」によって表される。目に細い一線を引き、鼻は「く」の字形に描かれ、唇に朱を点ずる類型的描写で、個性、表情に乏しいが、かえって静謐(せいひつ)な画面を生んで限りない情趣を漂わせる。絵は藤原隆能(たかよし)(12世紀中ごろの宮廷絵師)と伝えられるが確証はなく、画風からみてやはり数人ないし数グループの制作が想定できる。[村重 寧]
『田中一松編『新修日本絵巻物全集2 源氏物語絵巻』(1975・角川書店) ▽小松茂美編『日本絵巻大成1 源氏物語絵巻他』(1977・中央公論社) ▽佐野みどり著『名宝日本の美術10 源氏物語絵巻』(1981・小学館)』

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世界大百科事典内の源氏物語絵巻の言及

【絵巻】より

…一本の線で目を描き,鼻は単純な鉤形としながらそこに微妙なニュアンスを持たせ,さまざまな表情を見るものに感じさせるというものである。《源氏物語絵巻》はこうした技法,いわゆる女絵の画態による典型的作品であり,各場面のもつ深い詩的情趣やさらには主人公の心理の表現までも可能としている。これに対し連続式絵巻では,動きのある描線を自由に駆使し,最初にひいた描線を生かしながら,彩色を加えていく技法を用いる。…

【女絵】より

…女絵の語は,当初こうした女性自身の手によって描かれ女性好みの優美で情緒的な画態であったところから命名されたものであろう。このころ作られた物語絵はのこらないが,いわば素人の画技の延長上にあった女絵も,専門画人の参加によってしだいに技法的に高められ,12世紀前半には徳川・五島本《源氏物語絵巻》のようなつくり絵の華麗で細密な様式を完成させた。このように女絵の語が明確な様式概念を含むようになるにつれ,対立語として登場するのが男絵の語である。…

【藤原隆能】より

…鳥羽上皇の肖像画を承安4年(1174)に天王寺において拝した藤原経房が〈故隆能画〉と《吉記》に記していることより,そのおおよその没年が知られる。かつて徳川・五島本《源氏物語絵巻》の作者として名高かったが,それは江戸時代の鑑定家によるものである。今日12世紀前半と考えられている同絵巻の成立より,推定される彼の作画期間はややおくれることからも,認めがたい。…

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