蟋蟀橋(読み)こおろぎばし

日本歴史地名大系 「蟋蟀橋」の解説

蟋蟀橋
こおろぎばし

[現在地名]山中町こおろぎ

下谷しもたに町とこおろぎ町の間の大聖寺だいしようじ川に架かる木製橋。長さ約二一メートル、幅員三・六メートル。ここから下流黒谷くろだに橋までは奇岩・怪石が点在して鶴仙かくせん渓とよばれ、山中温泉を代表する景勝地で、蟋蟀橋は温泉の象徴ともなっている。「江沼志稿」には「長十間、巾六尺五寸、高七間、板橋ニテハネ橋、山中・下谷二領ノ間、大内越道ニ在」とみえる。河岸は鬱蒼とした雑木林で、かつては行路が危険であったので「行路危」と書いたものが、蟋蟀と記されるようになったとも(山中温泉余香)、付近で秋夜に鳴く蟋蟀にちなんだ命名ともいう(山中町史)。古くから詩歌に詠まれ、元禄四年(一六九一)金沢の俳人北枝が編纂した「卯辰集」に鶴来つるぎ(現鶴来町)の楚常の句として「秋の日や猿一つれの山のはし」が収められている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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