精選版 日本国語大辞典「蟋蟀」の解説
こおろぎ こほろぎ【蟋蟀】
〘名〙
① 古く、秋鳴く虫の総称。
② バッタ(直翅)目コオロギ科に属する昆虫の総称。体は一般に円筒形で、黒褐色または褐色。触角は体より長い。後足は長く、跳ねるのに適する。草地などに多く、物の陰にかくれ、雄は夏から秋にかけて鳴く。エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、ミツカドコオロギなど種類が多い。古くは「きりぎりす」といった。いとど。ちちろむし。《季・秋》
※東雅(1717)二〇「促織(はたおりめ)蜻
(コホロギ)蟋蟀(きりぎりす)〈略〉古にこほろぎといひ、今はいとどといふ者也」

③ ②に似た色。黒褐色。
④ (②などのように夜長を良い声でうたうというところから) 芸妓をいう人形浄瑠璃社会の隠語。
[補注]中世には「こうろぎ」という表記も見られるようになる。→こうろぎ
こうろぎ【蟋蟀】
〘名〙 「こおろぎ」の異表記。
※御伽草子・こほろぎ草子(室町時代物語大成所収)(室町末)「その中より、こうろきといふむし、出て申けるは、いかにかたがた、聞たまへ、誠にわれわれの、身のうへは、あさましや」
しっ‐しゅつ【蟋蟀】
〘名〙 蟋蟀(こおろぎ)のこと。しっそつ。
※凌雲集(814)重陽節神泉苑同賦三秋大有年〈嵯峨天皇〉「蟋蟀蔵レ声暁、蒹葭変レ色州」 〔詩経‐唐風・蟋蟀〕
しっ‐しつ【蟋蟀】
〘名〙 「しっしゅつ(蟋蟀)」の変化した語。
しっ‐そつ【蟋蟀】
〘名〙 =しっしゅつ(蟋蟀)〔文明本節用集(室町中)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報