血球内や血漿中にあって一般には酸素運搬に関与する色素で,鉄や銅などの金属を含む複合タンパク質である。血液の色はこれによる。直径1mm以下の小さな水生動物では体表から水に溶けた酸素が拡散によって必要なだけ供給されるが,それより大きな動物では酸素は循環系を通じて呼吸器官から体の各部に運ばれなければならない。そのとき酸素運搬の役割をするのがこの色素であって,酸素分圧の高い外界と接したところ(呼吸器官)で多量の酸素と結合し,酸素分圧の低いところ(組織)でその酸素を放出する。血液色素には,表に示すように,色,構造,性質,分布などの異なるヘモグロビン,クロロクルオリン,ヘムエリトリン,ヘモシアニンなどがある。またホヤの血液にはバナジウムを含むヘモバナジン,ある種の二枚貝の血液にはマンガンを含むピンナグロビンなどの色素があるが,その機能はよくわかっていない。
執筆者:佃 弘子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…鉄や銅などの金属を含む複合タンパクで,酸素と可逆的に結合する色素である。多くは血液中にあって血液色素ともよばれ,酸素を運搬あるいは貯蔵する役割を果たしている。ヘモグロビンはほとんどすべての脊椎動物と一部の無脊椎動物に,クロロクルオリンはケヤリなどに,ヘムエリトリンはホシムシやシャミセンガイにみられ,いずれも鉄を含んでいる。…
※「血液色素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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