ヘモシアニン(読み)へもしあにん(英語表記)hemocyanin

翻訳|hemocyanin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘモシアニン」の意味・わかりやすい解説

ヘモシアニン
へもしあにん
hemocyanin

呼吸色素タンパク質の一種で、イカタコエビザリガニなどの軟体動物や節足動物の血漿(けっしょう)中に存在し、酸素運搬機能をもつ。血青素(けっせいそ)ともいう。高等動物のヘモグロビンに相当するが、ポルフィリン環をもっていない。無色であるが、酸素と結合すると青色に変わる。銅二原子に酸素1分子を可逆的に結合するが、酸素との結合はヘモグロビンより弱い。また、ヘモシアニンは一酸化炭素とは結合しない。分子量や銅の含量などは動物の種類によって異なり、銅の含量は節足動物甲殻類の約0.17%から軟体動物の約0.26%にわたり、分子量も同じく約40万から約900万にも及ぶ。

[若木高善]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘモシアニン」の意味・わかりやすい解説

ヘモシアニン
hemocyanin

色素蛋白質の一種。無脊椎動物のエビ,ザリガニ,カタツムリ,アワビ,ホタテガイなどの血液中の血色素。1価の銅イオンとグロビン様蛋白質との結合物で結晶化されやすい。分子量は巨大で数百万ある。酸素との結合力はヘモグロビンより弱いが,結合の際無色から青色に変り,銅2原子に対し酸素1分子の割合で結合する。一般に一酸化炭素と結合しないので,これらの動物はその中毒を起さない。

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