衆徒大衆(読み)しゅとだいしゅう

改訂新版 世界大百科事典 「衆徒大衆」の意味・わかりやすい解説

衆徒大衆 (しゅとだいしゅう)

平安時代以後,南都北嶺などの諸大寺に止宿して,論義法談の慧学や修法観法に専心した僧侶総称。〈大衆〉のみの場合は〈だいしゅ〉とよむ。諸堂の管理や供華点灯などの雑用に従事した行人(ぎようにん)の上位にあって,行人とともに寺院大衆集団を構成した。世俗的には,中・下級貴族や荘官級の在地領主の家を,その出自とすることが多かった。中世の諸大寺においては,彼らが中心となって寺院を運営することが多く,そのためにしばしば集会評定を行った。《平家物語》や《玉葉》にみえる延暦寺や興福寺の大衆僉議(せんぎ)などはその例である。また,諸大寺はみずからの主張を貫徹するために,しばしば嗷訴(ごうそ)を行ったが,その主力となったのは衆徒大衆であった。延暦寺による日吉社神輿の動座,興福寺による春日社神木の入洛などが著名である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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