日本大百科全書(ニッポニカ) 「行政作用法」の意味・わかりやすい解説
行政作用法
ぎょうせいさようほう
国民と行政との法律関係に関する法の体系をいう。行政に関する法律は、行政の機関の権限、所掌事務、構造などを定める行政組織法と、行政機関が国民との関係で法律関係を形成、変更、消滅させるための法、すなわち行政作用法の二つに大別される。同一の法律にこの両方の法が定められていることが少なくない。たとえば、独占禁止法のうち公正取引委員会の組織権限を定めるのは行政組織法であるが、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法を禁止し、違反行為の排除を定める規定は行政作用法である。行政作用法の仕組みは個々の法律に定められ、あらゆる行政法規の全体に通ずる行政作用法の共通原理を定める統一的な法典はない。
[阿部泰隆]