改訂新版 世界大百科事典 「衛生研究所」の意味・わかりやすい解説
衛生研究所 (えいせいけんきゅうじょ)
都道府県および政令指定都市に設置されていて,細菌,ウイルスの検査,食品,飲料水,医薬品,医療用および家庭用品,化粧品,室内空気などが衛生上安全であるかどうかの科学的検査を行っている施設。また各地方に特有な問題についての調査,研究,保健所の監視業務の技術的支援や研修も行っていると同時に一般住民からの衛生上の依頼検査も受けている。政令指定都市の場合は衛生試験所と称して,主として各種試験や検査を行っているところが多い。また国には国立衛生試験所,予防衛生研究所,国立栄養研究所の3機関が厚生省に所属して東京におかれており,それぞれ独自に,あるいは都道府県などの衛生研究所と協力して試験検査,調査研究を行っている。衛生研究所には衛生行政の科学的な裏づけ,基礎づけの役割が期待されており,最近では,疾病や健康に関する公衆衛生情報の解析や関係方面への提供が一つの大きな任務ともなってきている。さらに先行的な調査研究の重要性も増してきている。
なお最近,医療機関での臨床検査の増加がいちじるしく,そのなかで小規模病院や開業医などからの臨床検査を集めて行う民間の臨床検査所が衛生研究所,衛生試験所と名のる例も出てきているが,これらは異質のものである。
執筆者:溝口 勲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報