表面科学(読み)ひょうめんかがく(その他表記)surface science

日本大百科全書(ニッポニカ) 「表面科学」の意味・わかりやすい解説

表面科学
ひょうめんかがく
surface science

固体表面、または固体表面に吸着した化学種の構造、組成電子状態、運動、機能などを研究する学問分野をいう。また、これらの諸現象を解析する方法を総称して表面分析という。

 固体表面は固体内部にみられる三次元的原子配列が切断されている。つまり表面原子は、本来なら結合力を及ぼすはずの外部隣接原子を失っているので、内部とは異なった原子配置を占める可能性が大きい。たとえば、清浄表面においてその内部構造から予想されるものとは異なる超格子規則格子)構造が数多くみいだされている。したがって、固体表面は、化学的、電気的、熱的、光学的性質など、固体の構造に密接に関連する諸性質において、その内部あるいは全体から予想されるものとは異なった特性を示す。このような性質は、純物性的な興味のみならず、その特性を生かした新素材の開発その他に応用範囲が広い。たとえば、半導体工業における新機能素子や化学工業における新触媒などの開発、金属工業における表面加工、その他数多くの実用例があり、固体表面に関する知識と技術が重要な問題となっている。

 表面を調べるのには、表面に電子、イオン、光、中性原子などを一次粒子として衝撃させ、これらが表面との相互作用を経て二次粒子として散乱されたり、表面に打ち込まれた一次粒子が刺激となって固体表面または内部から放出される電子、イオン、光などを検出する方法がおもなものである。

[高田健夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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