異なる種類の原子が,たとえば一つおきに配置しているような,規則正しく配列している固溶体をいう。超格子,秩序固溶体とも呼ばれる。たとえば銅-金Cu-Au合金は全率固溶体を作る。この固溶体を特徴づけているのは面心立方構造の結晶格子で,すべての格子点はまったく等価であり,400℃以上ではCu原子,Au原子は無秩序にこれらの格子点位置を占有している。しかしCuとAuとのモル比が1対1程度の合金では,面心位置にCu,隅の位置にAuといった規則正しい構造をとったほうが全体としてのエネルギー状態が低く安定になるというようなことが起こる。同じ結晶格子をA位置とB位置の二つに区別してA位置はCuが優先して占有し,B位置はAuが優先して占有するということで,ある臨界温度以下になると結晶全体でいっせいにこのような規則的構造をとる。このことを規則・不規則変態あるいは秩序・無秩序変態という。
無秩序固溶体では展延性に富む合金が,秩序固溶体(規則格子)になると硬くもろい性質を示すようになる。母相を規則格子としてマルテンサイト変態する合金には形状記憶効果を示すものが多い。
規則格子を広義にとると,超格子結晶も含まれる。これは,ある種の金属間化合物,たとえばGaAsとGaAlAsの領域が交互に規則的に配列するように人工的に作製した結晶をいい,電子の高速移動度など独特の性質を示す半導体素子として用いられている。
執筆者:伊藤 邦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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