補巌寺(読み)ふがんじ

日本歴史地名大系 「補巌寺」の解説

補巌寺
ふがんじ

[現在地名]田原本町大字味間

宝陀山と号し、曹洞宗。寺伝では至徳元年(一三八四)僧了堂真覚が建てたという。「大和志」は「康安元年僧真覚建」と記す。本願は寺蔵の元亀納帳に「当寺本願旦那得庵」とみえ、奈良興福寺大乗院方の国民十市遠康とみられている。明徳四年(一三九三)竹窓智厳が二世となり、以後曹洞宗了堂派の本寺として栄えた。室町時代には十市氏の菩提寺、江戸時代には味間の領主藤堂氏の祈願所となった。安政五年(一八五八)本堂焼失、その後衰退した。現在は山門・庫裏・鐘楼を残すのみ。本尊釈迦如来坐像は室町時代、菩薩坐像は鎌倉時代前期の作。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の補巌寺の言及

【世阿弥】より

…在島中の小謡曲舞(こうたいくせまい)集《金島書》によって1436年(永享8)2月に健在だったことは知られるが,帰洛したか否かは明らかでない。世阿弥夫妻が帰依した曹洞宗補巌寺(ふがんじ)(奈良県田原本町)に彼の忌日(8月8日)が記録されているが,没年は不明で,81歳没との伝承が残るのみである。不遇のうちに世阿弥は波乱多き出涯を閉じたらしい。…

※「補巌寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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