西郷信綱(読み)さいごうのぶつな

百科事典マイペディア 「西郷信綱」の意味・わかりやすい解説

西郷信綱【さいごうのぶつな】

古典学者。大分県津久見市生まれ。東京大学英文科に進んだが,国文科に入り直し同科を卒業。記紀神話古代文学を中心に,日本文学研究の革新提唱,当初マルクス主義的方法に依拠していたが,二十世紀の人類学・神話学・批評理論への深い造詣をふまえて方法論を鍛え,古典の読みを深化させた。1970年大学闘争を機に大学を去り,自宅での研究会と執筆に専念した。代表作に,本居宣長の《古事記伝》に比肩すると評価された《古事記注釈》4巻(1989年完結),《古代人と夢》(1972年),《源氏物語を読むために》(1983年),《古典の影》(1979年)など。横浜市立大学教授,法政大学教授,ロンドン大学教授。文化功労者(1995年)。
→関連項目山口昌男

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西郷信綱」の解説

西郷信綱 さいごう-のぶつな

1916-2008 昭和-平成時代の国文学者。
大正5年1月3日生まれ。昭和24年から46年まで横浜市立大教授。ロンドン大教授,法大教授もつとめた。古代文学研究の新しい面をひらき,平成2年「古事記注釈」で角川源義賞。7年文化功労者。平成20年9月25日死去。92歳。大分県出身。東京帝大卒。著作に「万葉私記」「日本古代文学史」「古代人と夢」など。

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世界大百科事典(旧版)内の西郷信綱の言及

【日本神話】より

…さらに折口信夫の《古代研究》3巻(1929‐30)は詩的直観力によって古代的世界とじかに交感しようとするものであった。また西郷信綱は人類学等の隣接諸科学の成果を取り入れて,〈作品〉としての《古事記》の文脈を尊重しながら,神話を構造的に読み解いて《古事記の世界》(1967),《古事記研究》(1973),《古事記注釈》(1975‐89)を著した。古事記神話日本書紀【武藤 武美】。…

※「西郷信綱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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