西陰村遺跡(読み)せいいんそんいせき(英語表記)Xī yīn cūn yí zhǐ

改訂新版 世界大百科事典 「西陰村遺跡」の意味・わかりやすい解説

西陰村遺跡 (せいいんそんいせき)
Xī yīn cūn yí zhǐ

中国山西省夏県にある新石器時代仰韶文化遺跡。1926年清華研究院の李済らによって調査された。遺跡は東西560m,南北800mにわたる。表土下に薄い石灰層を隔てて灰土層があり,さらに砂土層が続いて最下部に平面が楕円形の竪穴がある。遺物各層から出ていて,土器,石器,骨器,貝殻片,装飾品,獣骨がある。土器は彩陶,縄蓆文のついた粗質の灰陶と黒陶の3種に大別されるが,層位に区別なく出土する。彩陶の器形は鉢が多く,黒または赤色で葉形文,円点文,斜格子文,弧形三角文が描かれるが,白色の下塗を施す彩陶もみられる。彩陶の特徴は河南の仰韶文化とくに廟底溝類型のものに共通している。石器では石斧,有孔石斧,長方形石庖丁,打製石鏃,石錘紡錘車顔料を磨りつぶす石皿と石杵,石弾などがあり,骨器には笄,鏃,錐,針がある。ほかに土製と石製の環,貝製垂飾品や半截された繭が出ている。別に砂土層で小児を埋葬した墓も発見された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西陰村遺跡」の意味・わかりやすい解説

西陰村遺跡
せいいんそんいせき
Xi-yin-cun

中国,山西省夏県にある新石器時代仰韶文化の遺跡。 1926年に李済によって調査された。出土した土器は粗灰陶,紅色細陶,彩陶などであり,ほかに石器,骨角器も発見されている。彩陶は下層に多く上層に少く,出土した彩陶は河南のそれと類似している。この遺跡の調査は,中国で初めて3点記載法を用いて発掘した遺跡である。

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世界大百科事典(旧版)内の西陰村遺跡の言及

【彩文土器】より

… 土器の中で占める彩文土器の比率は低い。坪井清足によると,中国山西省西陰村遺跡の竪穴出土の土器の比率は彩陶16.3%に対して黒灰色土器11.6%,尖底壺5.6%,粗陶31.3%であって,彩陶の器形は各種の鉢,壺,高杯などの,物を盛ったり貯蔵しておく容器であり,しかもこの種の器形には紅陶もあるから,彩陶は特殊な容器として存在したものであることが指摘されている。これはギリシア・ローマの絵付陶器が冠婚葬祭,宴席,奉納に用いられ,日常の用は無文陶器や青銅容器によっていたことと関連させて考えなければならない現象であろう。…

※「西陰村遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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