見ざる聞かざる言わざる(読み)みざるきかざるいわざる

ことわざを知る辞典 「見ざる聞かざる言わざる」の解説

見ざる聞かざる言わざる

他人の欠点やあやまちなど、悪しきことは、見ようとせず、聞こうとせず、言おうとしないのがよい。

[使用例] 今日、民主主義とかいろいろなことが申されておりますけれども、私どもは何しろお互い様にこの五ヶ月ほど前には、見ざる、言わざる、聞かざるででくの坊になって暮らしていたのです[宮本百合子*幸福の建設|1946]

[解説] 悪しきことを遠ざけよというのがことわざ本来の意義と思われますが、自己保身のために見て見ぬふりをする場合にも使われ、現代では否定的なニュアンスを伴うことも少なくありません。語尾の「ざる」が「猿」に通じ、古くから三猿像(三匹の猿がそれぞれ両手で目・耳・口をふさいでいる)がこのことわざを表現したものとされてきました。猿は、古来、馬の守り神で邪悪なものの侵入を阻むものとされ、「さる」に通じることから庚申待ちともかかわりがあります。近年、三猿像が世界各地に古くからあることが明らかになり、日本語の語呂合わせだけでは説明しきれない側面があります。

英語〕See no evil, hear no evil, speak no evil.(悪しきことを見るな、聞くな、言うな)

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